yさんの映画レビュー・感想・評価

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非情の罠(1955年製作の映画)

3.2

フランク・シルヴェラ演じるボクサーが主人公。隣の建物に住む美しい女性の生活が引きの窓越しに映る。カメラの位置が低く、リング下からの仰ぎショットばかりで観づらい試合風景。
ファム・ファタール。女性を取り
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魔界世紀ハリウッド(1994年製作の映画)

3.5

ハリウッドで実際に起こった赤狩りを魔法使い狩りに落とし込んだコメディ映画。天国に行けば名プロデューサーも監督も一人の人間に過ぎないという文脈でセシル・B・デミルにわざとらしく言及している、分かり易い赤>>続きを読む

マーターズ(2007年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

屠殺場で虐待をされていた少女→女性の精神崩壊と復讐に溺れる加害性の暴走を描いたサイコスリラー(というていで始まるホラー)。平穏な日曜の朝を過ごす家族をショットガンで皆殺しにしたかと思えば、今度は女が想>>続きを読む

湖の紛れもなき事実(2023年製作の映画)

2.4

しんどい方のラヴ・ディアス。未解決の失踪事件を追う正義漢の刑事が、捜査にのめり込むあまりに自我を失っていく。
他者を救うことでしか満たされない男だが、Philippines Eagleになり切って木の
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.2

近年のヴェンダースでは間違いなくベスト。ドキュメンタリー構想もあったという本作だが、毎日東京中のオシャレトイレを掃除して回る役所広司のルーティンには職人としての貫禄すら感じられた。

極力他者との会話
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鉄路の男(1957年製作の映画)

4.7

オープニングのスタッフロールが終わるまで延々と続く列車の通過を見上げる仰ぎショットの単純反復。鉄路に立ち塞がる男の存在に機関士が気付いてから電車が停止するまでのほんの10秒程度の間に、機関士たちの焦燥>>続きを読む

わるい仲間(1963年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

ダンスに行く途中の女性をナンパ、会話をするうちに判明する彼女の社会的な立場や苦しい状況にも関わらず、ちょっとした嫉妬心から財布を盗んで逃走。
にもかかわらず、マトモでありたいと思い、金を抜き取った財布
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サンタクロースの眼は青い(1965年製作の映画)

3.5

サンタクロースに扮することで何者かになれるような快感を感じる青年だが、それにより果たそうとする野望は、少しでも女性に触れるという小さく儚い夢。誰にも相手にされない男は今夜も、社会のセーフティネット、売>>続きを読む

ペサックの薔薇の乙女79(1979年製作の映画)

3.0

68年の同様の式典を収めた前作はモノクロだったが、約10年後の本作はカラーである。ジャン・ユスターシュの故郷への思いだけで作られているような映画で、観客の殆どにとっては「どうでもいい」話なのは確かだろ>>続きを読む

ペサックの薔薇の乙女(1968年製作の映画)

3.5

ジャン・ユスターシュの故郷である歴史ある村で古来より行われている「薔薇の乙女」を選び、祝うという行事を、極力意思を排したカメラで淡々と収めたドキュメンタリー。1968年の仏の田舎を捉えた内容なので、言>>続きを読む

ぼくの小さな恋人たち(1974年製作の映画)

3.2

アルメンドロスの撮影は文句なし、自転車で隣町という名の異世界に渡る少年たちの性欲にブーストされた疾走感、ユスターシュ自信を投影したと言われる主人公の少年の視姦を機微なカメラの動きで表現する。橋を渡って>>続きを読む

不愉快な話(1977年製作の映画)

3.7

カフェのトイレで女性を覗くという下劣な話を、どこか誇りを持っているように語る男と話を聞く女たちを、フィクション&ドキュメンタリーの体裁でわざわざ2部構成で描く。
「性器は心の鏡」とか、「肉体の序列の変
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(1970年製作の映画)

4.0

ジャン・ユスターシュがドキュメンタリー監督ジャン=ミシェル・バルジョルと共同監督した作品。死を悟って怯えるような、甲高い豚の悲鳴から始まる屠殺・精肉・加工。
職人として豚の命を奪う男たちは、仕事中に笑
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ナンバー・ゼロ(1971年製作の映画)

3.5

超絶怒涛のマシンガントークお婆ちゃん!
身の上話を最低限の息継ぎで90分以上語りまくる老婆。ジャン・ユスターシュの反応が薄くて気が利かない返答ばかりしているのが面白い。カチンコも映り込み、ノーカットで
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アリックスの写真(1980年製作の映画)

3.3

女性が見せる彼女のプライベートな写真、興味無さそうに説明を聞く男性。「へー」「ふーん」とか言いながら次々に写真をめくっていき、「あっ、これはね」と楽しそうに想い出を話す女性との温度差に笑える。裸に見え>>続きを読む

悪の神々(1970年製作の映画)

3.6

出所したばかりの男が、自分の彼女であるクラブの歌姫の楽屋に忍び込む。「愛は死より残酷」と同じフランツとヨアンナという男女の組み合わせを壊すところから始まる関係性。実質的には続編(後日譚)ともいえる内容>>続きを読む

ローラ(1981年製作の映画)

3.7

ファスビンダーによるメロドラマ。
市長やら建設局長やら高官やら、影響力を持つ男たちの関係者で溢れるカバレット(キャバレー)つきの娼館で、人工的な赤い光に照らされて歌い踊る女性たち。建設業界にのさばるゴ
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監督失格(2011年製作の映画)

4.0

監督失格で良いと思う。勝気で男勝りな由美香のお母さんが膝から崩れ落ちる瞬間。廊下の床に置かれたカメラの前で無邪気に動き回る子犬が悲しみを引き立てる。まるで嘘かのような雨。

素ッ裸の年令(1959年製作の映画)

3.3

不良少年少女たちのたまり場の“別荘”で、とても不良には見えない純粋そうな子供たちが「金の使い道」を語り合う。足に障害のある少年、親に毎日「死んじまえ」と言われている少女。大人は都合良く子供を利用する。>>続きを読む

こどもが映画をつくるとき(2021年製作の映画)

4.0

コロナ禍の宮崎で、子どもたちがワークショップを通じて映画撮影を体験する。撮影された映像を通して、普段子供がみている世界を追体験することができた。
初めてインタビューを撮った映像を皆で見て「何も映ってな
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鶴は翔んでゆく/戦争と貞操(1957年製作の映画)

4.5

カラトーゾフの「鶴は飛んでゆく」がまさかの4Kレストアで発売されたということで迷わず購入。ジョージア出身の映画監督と言えばイオセリアーニかカラトーゾフかだと思うが、こと戦争をテーマに描けばカラトーゾフ>>続きを読む

エッセンシャル・キリング(2010年製作の映画)

4.1

アフガンの砂漠から囚人として東欧へと移送されたヴィンセント・ギャロが、生き延びるための必要最低限の殺害で以って追っ手から逃れる、雪山サヴァイビング・スリラー。スコリモフスキ自身がランボー×タルコフスキ>>続きを読む

続・私は好奇心の強い女〈ブルー版〉(1967年製作の映画)

3.5

小さく大きいブルー篇。レナ、監督、そして他のキャラクターも含めてイエロー篇と同じ(新キャラもいるが)、全体的な流れも踏襲していて共通している台詞もあるが、全く別の映像になっている。ボリエは最初から役者>>続きを読む

ONE PIECE FILM GOLD(2016年製作の映画)

2.0

ド派手だけど話はあるようでない。REDよりマシだけど。
スパイ教室のエルナ的な敵の倒し方をする菜々緒。

私は好奇心の強い女 イエロー篇(1967年製作の映画)

4.3

有り体に言うとビッチという単語が相応しいスウェーデンの演劇学生のレナは、演出家に甘い声で枕を持ち掛ける。「女優と関係を持つと監督の目が曇る」というベルイマンの(本当に言ったかどうか分からないが・・)言>>続きを読む

あるじ(1925年製作の映画)

4.2

<メモ>
・一日中忙しなく働く妻、暴力こそ振るわないが、妻のやることなすことにモラハラ言動を繰り返す夫(あるじ)
・耳に木綿でも詰めてるのか?
・字幕だけでも気分を悪くする素晴らしい表情演技
・穏やか
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吸血鬼(1932年製作の映画)

3.8

<メモ>
・死刑執行された犯罪者が吸血鬼に従い人を殺すという吸血鬼伝説
・J・スチュアート的な好青年
・メインビジュアルでもある鎌の空間支配力、恐怖・抑圧
・影を用いた超自然敵かつ印象的な演出
・中間
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ONE PIECE STAMPEDE(2019年製作の映画)

3.8

単発のアトラクションムービーとして素晴らしい出来。たぶんREDを観た後なのでかなり甘々。

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