ひじり

マウトハウゼンの写真家のひじりのレビュー・感想・評価

マウトハウゼンの写真家(2018年製作の映画)
3.5
なんて感想を抱けばいいのか、わからない

ほんとうに淡々と、
日常のように過ぎていく理不尽な現実に
見ているこちら側も麻痺してきてしまう。

「過去を忘れない」というのは
「人が人に行った悪事を忘れない」ではなく、
「人の残酷さを忘れない」ことかと腑に落ちた。

ナチスの強制収容所に関する作品は数多くあれ
酷い、辛い、という感想で終わってはいけないと改めて思わされた。

時代や思想、宗教や人種が絡めば
いまだって簡単にこの地点に戻れる素質が
わたし達の中にはある。

人種差別やジェンダーだって未だに残る
この残酷さの1つだろう。

ラストの写真がかなりショッキングだが
この記録が今こうして世に出ることに
なんとも言えない悲壮感が残る。

これはかつて、現実だったんだ。
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