アガサ・クリスティ原作の「ナイルに死す」の映画化、ケネス・ブラナー監督兼主演で、「オリエント急行殺人事件」に続く2作目。
「ナイルに死す」の映画化はこれで2本目で、ドラマでも映像化されているし、もちろん原作も読んでいますが、ケネス・ブラナーはこの古典ミステリを、前回の「オリエント急行殺人事件」同様、下手に古臭くセピアがかった演出にせず、綺麗な画作りで今風に落とし込んでいます。そこが素晴らしい。
原作自体が事が動き出す、つまり人が殺されるシーンまで長すぎる作品なので、そこまでどのような演出構成で魅せるかがポイントになると思いますが、私的にはそのあたりは良いバランスに感じられました。
人物のスポットの当て方、そこに辿り着くまでのプロセスも丁寧で重厚感が出ていた気がします。
前作の「オリエント急行殺人事件」に比べるとキャストのインパクトは薄いものの、エマ・マッキーやレティーシャ・ライトの存在は良い味になっていましたね。
そのエマ・マッキーが演じるジャクリーンの描写も、現代的な変化が見られるところが面白い。
またR&Bを取り入れているところは大胆な演出だし、画的な拡がりが出ていてよかった。
名作古典ミステリのカタルシスを十分に感じさせてくれる仕上がりだったと思います。
