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ナイル殺人事件のtomoのレビュー・感想・評価

ナイル殺人事件(2022年製作の映画)
2.9
つまらないわけじゃないけど、それは原作がそこそこ面白いからであって、映画ならではの良さは特に感じない。原作が有名だからこそ割り引いて見てしまっているところもあるかもしれないが、原作モノの宿命だからそこはご容赦を。
ミステリ小説を映像化する以上は、トリックや謎解きの驚きを映像でよりわかりやすく見せるとかテンポよく緊迫感を煽るとかの工夫が必要だと思うんだが、特に目立ったところはない。
あとは映像美で魅せるしかなく、その点頑張ってる感じはするんだけど、あまりにも戯画的というか漫画的な画造りが鼻についてかえって魅力を削いでいる。前作オリエント急行殺人事件も画的な見せ場のためにアクションシーンを入れたり謎解きの背景を派手にしたりしていたが、古典ミステリの映像化に求められるのはそれじゃないんじゃないの感が凄かった。本作も、登場人物をまとめたり筋を端折るのは2時間に纏める手段なので良いが、映えるシーンを作るために場面を弄るのは原作ファンには好印象でなさそうだし、原作を知らない観客にとっても観光映像を見せられてどうすんの?それで映画として面白くなるわけじゃないでしょ?と思ってしまう。
テレビシリーズの古色蒼然としたイメージが強いせいかもしれないが、ちょっと方向性が自分の求めるものと違って残念。ポワロを知らない完全ご新規さんが、軽めで古臭さのないミステリを見たいとかいう場合の方が楽しめそうだけど、そういう層はわざわざポアロを見ないでネトフリのミステリドラマとか見るだろという気もする。いまいちどの層をターゲットにしているのかがわからない感じでした。次作はあっても見ないな。
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