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ミッドサマーのKNYのレビュー・感想・評価

ミッドサマー(2019年製作の映画)
4.1
フローレンスピューの演技が光るサイコホラー。
あらゆるシーンがウッとなる
悪趣味すぎて
どこか可笑しくて笑ってしまうのも確かに分かるが
事が起こった時に大体ダニにカメラが向いていて、あまりにもどっちつかずなリアクションを取る事が多いから
観る側も若干困惑するというか、これを狂気と呼ぶのか何と呼ぶべきか…となる

不気味なタペストリーが物語の進行やキャラの運命を示唆する(というか書いてある)ので
オチとしては分かりやすいものだったが、
白昼堂々もたらされる惨劇は暗闇が多いホラーとはまた一線を画す情報量で
目の前で起こっているあらゆるものに注意が向く。
そこで、先のタペストリーのように
しれっと置いてあるアイテムが完璧な舞台装置として機能している事や
ダニーのみのカットに、それ以外のキャラの挙動が見えるなど
画面を変えるだけで凄まじいまでの情報が転がっている。

また、作中でもっとも印象的なシーンの一つである、ダニーが恋人の性行為を目撃した直後のそれや、村で起こっている異常な習わしに登場人物が違和感を隠せずにいると抑えに入る住人など
まさにSNSで見るような同調圧力や監視の目を見ているようで、そういった現代社会の縮図のようにも思える。

そしてラストシーン。ダニーの見せた表情はあまりに残酷で、しかし温かいものでもある。
彼女は失った家族を新たに手に入れ、しかもトラウマを乗り越えたのだ。常識とは異なるかもしれないがこれは立派なカタルシスである。

どことなく、ダニーに感情移入してしまうような映画だ。


あと地味に呼吸してるみたいな植物やテーブルの肉が最高に気色悪い。
ブラックスワンの序盤で観た事あるぞ、こういうの
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