ななこっこ

ミッドサマーのななこっこのレビュー・感想・評価

ミッドサマー(2019年製作の映画)
4.4
【全体通しての感想】
ディレクターズカット版で鑑賞
R18ならではの見所は、はじめての食事、夜の儀式、モザイクなしの性愛の儀式。
怖いのかなと思って観る前に緊張はしたけど、エログロは意外とそこまで強くなかった。
どちらかというと失恋した人に観てほしい映画と言えるほど恋愛の要素が強かったかな?
あと何回か観て恋愛のところは理解できるかな、、、という感想だった。

【ストーリーと世界観】
ダニーとクリスチャンのすれ違いや、ダニーの家族との死別によってホルガ村に招かれ連れて行かれる。ホルガ村では宗教的な背景によって人の命を無くすことに「祝福」を感じる、一般市民の常識に照らして考えるとありえない世界。

そんな世界を花や木々が彩る美しい風景で描いているためか、わたしは天国に極めて近い世界のように捉えられた。なくなった生命をまた新しい生命が受け継ぐ、輪廻転生もひとつの主題となっていて美しかった。

【印象的だった箇所、気付き】
この映画の怖いところはふたつ。

ひとつめはホルガ村の人間たちが異常なまでに外界の人間に共感を示し、笑っているところ。
本当に共感しているのか胡散臭さもあるけど、共感はどんな人間でも欲するもので、だからこそホルガ村は人間の欲求を満たすユートピアなのではないか。ダニーはクリスチャンとの間に共感性を感じることがなく、一方で村の人たちには受け入れられている描写が多かった。

ふたつめはこれらの異常な世界観に観ている人間が取り憑かれていくこと。
全て人間が行って導き出された結果だから、批判的な意見はたくさんあると思うのだけど、作中でクリスチャンが「異質なものだから、おかしいと感じるだけじゃない?」という意見には賛同できた。
ホルガ村の人たちも憎しみを持ってやっているのではなくて、純粋な気持ちで意味を込めてやっている行為だから美しいと思えるのか。わたしもホルガ村の人間たちに取り憑かれたのか。

170分間は長くてかなり体力は要るけど、それでも不思議な世界に飽きることはなく、目が離せない。体感時間としては短く感じられる。

映画を観るとホルガ村には入らずに垣間見ることができて、すごくおすすめです。ちなみにわたしはまた観たいです。
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