これぞA24の作品、ですね
国境が隔てる死生観の相違、人との繋がりをすごく大切にするナイナイと、そんなナイナイが特別気にかけるビリー、ナイナイの余命宣告を受けるも伝えないことにする親族たちは、自分らのしていることが正しいなどという独りよがりな、独善的な人間っていう訳でもなくて、みんながみんな正解を知らぬままわかるわけもないまま振舞っている
結局ナイナイが亡くなってどうなったんだとか、ナイナイに伝えた時の様子とか、そんなまるで答え合わせのようなものは必要なくて、常に隣り合わせでいるはずだった死が可視化した時、自分のスペースに踏み込んできた時、人々が願う幸せはなんなのか、死はどう見えるのか、あなたはどう捉えるか、そんなふうに死生観の根本を問いかけられている気がした
観終わったあとにもう一度冒頭シーンを観直すと、お互いがお互いを心配させまいと嘘をつきあっていて、2人の人間像が改めて垣間見えた気がして、そこで泣いてしまった
人は誰しもが人を心配させまいと嘘をつくけど、それがいい事なのか悪いことなのかなんて到底わかることでもなくて、でもそうしてまで嘘をつきたいと思える人が周りにいる、ということはとても幸せで恵まれているということ
そのことを、若くして少しずつ捉えていたビリーと、長く生きて理解したナイナイ
とにかく各所好きな構図とシーンが多くて見入ってしまいました、さすがだA24
身終わったあとはなんだか前向きになれる、お涙頂戴演出がないのがより作品を良くしていました
そしてコメディ要素も多く、クスッと笑える
物語の着地点もなんだか心地が良い
いい声が出ていたと思う
何度も観るような作品ではないけどいつか必ず、自分の何か節目に合わせてまた観ようと思う
そしてオークワフィナ、本当に本当に素晴らしい
彼女は人間を演じるのがとても上手
好き、というより大切にしておきたい作品でした