諏訪

ラストブラックマン・イン・サンフランシスコの諏訪のレビュー・感想・評価

5.0
アサイーのオシャレでセレブっぽいトラックの後ろに座っている画がなんとも。スケボーに乗せてくれー!と叫びながら追いかけてくる男とか、バス停の全裸紳士()の存在。押し寄せる資本主義社会。変わりゆくサンフランシスコにかつてあったもの、今、まだ見ぬ先のこと。同じだけ自分が持っていたもの、今あるもの、これからも生きていくということ。

ラスト、自分の意思で街を離れるシーンに本当に心を持っていかれた。あの家を出たのも、家族が離散したのも、家が高騰して到底買えるものではなくなったことも、自分の選択じゃなかったはず。そうじゃなくて自分の意思で出て行く。サンフランシスコを捨てたわけでも捨てられたわけでもない。それがちゃんと自分の中にあれば、どんな風にも生きていける。

mid90sでも思ったけど、スケボーで道路を滑っていくのほんとにいいな。

画面の隅々にまで込められたサンフランシスコへの深い愛情を、推し量ることすらできないような気がする。寄せては返す波のような映画だった。
諏訪

諏訪