YanRay

スーヴェニア 私たちが愛した時間/ザ・スーベニア 魅せられてのYanRayのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

ラストシーンで向けられた画面を越えたジュリーの視線、そしてゆっくりと開くスタジオ扉とその向こう側にある外の世界。ストーリー冒頭の彼女自身のセリフ「人間は現実でも映画の中でもみんなリアル」を思い出す。とても美しいシーンだなぁと。溶け合う映画と現実の間、その境界線に立つジュリーの姿。彼女は今それを理解する。

"表現とはまず自己の人生経験から産むべきだ。"

スノッブのジュリーは正直いけ好かない。この辺りは監督自身の戒めも込められてるのかな?普段から買い物はハロッズ、高いカメラも買ってもらえて、好きな人からお金を無心されれば疑わずに渡しちゃうし、その彼の腕にあるニードル跡が何かわからないほど世間知らず。自分が"スノッブ"っていう意識も低くて、あきれるほどにお人よしで繊細で純真で...でもだからこそ汚れて疲れ切ったアンソニーの魂を浄化した。

淡白な映像と最小限のセリフが心地よい。

トム・バークはタバコが似合うなぁ。骨太な体格だけど、意外と繊細で退廃が似合う不思議な魅力がある。

聞こえた「アクション」の声に次の自己発見を期待しつつ...The Souvenir PartII日本でも早くどっかで観られるようになれ〜。
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