このレビューはネタバレを含みます
ラストシーンで向けられた画面を越えたジュリーの視線、そしてゆっくりと開くスタジオ扉とその向こう側にある外の世界。ストーリー冒頭の彼女自身のセリフ「人間は現実でも映画の中でもみんなリアル」を思い出す。とても美しいシーンだなぁと。溶け合う映画と現実の間、その境界線に立つジュリーの姿。彼女は今それを理解する。
"表現とはまず自己の人生経験から産むべきだ。"
スノッブのジュリーは正直いけ好かない。この辺りは監督自身の戒めも込められてるのかな?普段から買い物はハロッズ、高いカメラも買ってもらえて、好きな人からお金を無心されれば疑わずに渡しちゃうし、その彼の腕にあるニードル跡が何かわからないほど世間知らず。自分が"スノッブ"っていう意識も低くて、あきれるほどにお人よしで繊細で純真で...でもだからこそ汚れて疲れ切ったアンソニーの魂を浄化した。
淡白な映像と最小限のセリフが心地よい。
トム・バークはタバコが似合うなぁ。骨太な体格だけど、意外と繊細で退廃が似合う不思議な魅力がある。
聞こえた「アクション」の声に次の自己発見を期待しつつ...The Souvenir PartII日本でも早くどっかで観られるようになれ〜。