カニペンギン

TENET テネットのカニペンギンのレビュー・感想・評価

TENET テネット(2020年製作の映画)
1.8
ノーラン監督の映画への愛が込められている作品だという評も見かけたけど、どちらかというと「人間の(/俳優の)感情や肉体といった不完全で不確定なものへの嫌悪」みたいなものを感じてしまった。それは、大義のために死にゆく登場人物たちがおくるメッセージと、執念ともいうべきストイックな構造設計が相まって。
このコントロールへの変態的・天才的欲求が誰かの胸を熱くさせるのかもしれないけど、自分にはやはり向かない監督だなと思う。せめて物語自体が性格悪い奴の性格悪い話なら、その変態性も楽しめるのだけど。

自分が考えた世界観や思考実験をこの世に顕現させたい、という願いのみで描かれたSF小説は(それが大好物なひとがいることもわかりつつ)あまり入り込んで読めないし、自分は、映画の不確定ゆえにあらかじめ孤独じゃないところが好きなのだなとあらためて思ったりなどしました。
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