Monisan

デッド・ドント・ダイのMonisanのレビュー・感想・評価

デッド・ドント・ダイ(2019年製作の映画)
4.1
観た。

ジム・ジャームッシュのゾンビ映画。
面白くない訳が無い。

ビル・マーレイとアダム・ドライバーが出てくるだけでテンション上がる。2人の車内の会話も最高。「まずい結末になりますよ」とロニー。
ラジオをFM9.11に合わせると、スタージル・シンプソンの「デッド・ドント・ダイ」。クリフ署長が「聞き覚えが」というと「テーマ曲だから」とロニー。いきなりふざけた演出。良い。
(ちなみにアダム・ドライバーは9.11をきっかけに海兵隊に入隊している)

”センターヴィル 実によき町”という看板も笑える。
「KEEP AMERICA WHITE AGAIN」という帽子を被りダイナーでコーヒーを飲む、スティーヴ・ブシェミ。本当にこの人出てくると笑っちゃう。
森に住むボブはトム・ウェイツか。ジャームッシュ作品の常連達の大共演なんだな。
常連さん達はみんな声と喋り方が個性的。みんなちょっとだるそうで好き。

謎の女ゼルダは、ティルダ・スウィントン、彼女の声も魅力的。「最後にして最初の人類」のナレーション素晴らしかった。この映画ではサムライソードを振り回す。

最初のゾンビは、サラ・ドライバーとイギー・ポップ。おもしろ!
「コーヒー、コーヒー」と。ゾンビは生前に思い入れの強いものに執着するらしい。
現場のダイナーに到着するパトカー。ロニーは愛車スマートで。ミンディはプリウスを奥に停める。「野生動物のせい?それも何頭かで」の台詞を何度も被せてくる感じとか。小ネタが多い。

いよいよ街にゾンビが溢れかえってくる。「wifi」「Bluetooth」と執着している言葉を呟きながら。最後の「siri」で吹いちゃった。

ゼルダが署に来て警官らは街へ。そこでもキーホルダーのスターウォーズを突っ込むゼルダ。

ミンディもやられて、遂に2人になるクリフとロニー。
「まずい結末になる」を繰り返すロニーになんでそんなに冷静なんだとキレる、クリフ。「実は台本を読んだ」「全部か?」「ジムがくれた」クリフは「俺には出演シーンだけだ」この辺りもうメタにも程がある、自由過ぎる。
ゼルダは未確認飛行物体で帰っていっちゃうし…

ボブに「なんてイカれた世界だ」と言われながら、無事に「まずい結末」になって映画は終わる。

この映画はジャームッシュ作品の常連豪華俳優陣を満喫する、小ネタ満載の面白ゾンビ映画。だいぶ好き!
しかしゾンビ映画ってなんでこんなに沢山作られるんだろう。死者が蘇るという事にキリスト教圏の人々は潜在的に恐怖を感じるからなのか。自分はあまりゾンビ映画って好んで観ないけど。何故だろう。

ジム・ジャームッシュ、脚本・監督
Monisan

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