おかだ

今日から俺は!! 劇場版のおかだのレビュー・感想・評価

今日から俺は!! 劇場版(2020年製作の映画)
2.8

中3のときに全巻揃えて以降、人生で1番好きな漫画となった「今日から俺は!!」。
"今日俺"だけでなく西森博之さんの漫画はどれも大好きで、中でも彼の最高傑作が「お茶にごす。」だと思ってます。
今日俺全盛期にあった無敵の疾走感は無いけれど、てんこなや道士郎なんかにも受け継がれ練られていった間の使い方や卓越した心情描写がついに円熟期に達していた。
一貫したテーマが素敵で、11巻とコンパクトで絵柄もソフトな、老若男女誰にでも自信を持って勧められる、まさに集大成です。

ちなみに西森博之の作品であえて個人的な順位をつけるとしたら、
今日から俺は>お茶にごす。>天使な小生意気>道士郎でござる>鋼鉄の華っ柱>柊様は〜
かなぁ。誰かこの話できる人いませんかね。

そんなこんなで非常に強い思い入れがある「今日から俺は」、何度か色々なコンテンツで蘇っているんですね。
大コケのvシネ版に、黒歴史扱いのOVA(結構好き)。ゲームバランスが壊滅的なDSソフト「サンデー&マガジンホワイトコミックス」。
あとは操作性皆無のMobage版などなど。
信じられないくらいにどれもパッとしなかった訳ですけれども、そんな中で2018年になってまさかの青天の霹靂。ここにきての実写ドラマ化。

ドラマの話までしだすといよいよキリがないので一言だけ言っておくと、当時まさに無法地帯だったヤンキー漫画というジャンルの中で異彩を放つ可愛げのあるキャラクターたちによる日常コメディというオフビート感、原作の持つ勢いと愛嬌、これらを、これらだけを表面的にすくい取って、いわゆる福田組と呼ばれるメンバーの型に当て嵌めた映像作品。もとい、茶番劇。
これを機に原作を読みに行ってファンが増えると、またアニメ化とかしてもらえるんじゃないかとか期待してニコニコしておりました。


映画の話ですね。
最初に感想を述べておくと、面白かったです。

今作は、いわゆる福田組の色がやや抑え気味で、若干原作寄りの雰囲気に仕上がっていた。
ドラマでもあった、スローモーションやCGも盛り込んだ、アニメーションチックなケレン味あふれるアクションシーンも良かったと思います。
あとは、柳を演じた柳楽くんは言わずもがな、大嶽を演じた栄信が思いのほか良かった。


以下、レビューというよりダラダラと文句言うだけのブログスタイルなんで暇すぎてゲボ吐きそうな方だけよかったら読んでってください。

今作(劇場版)の特徴って、シリアス要素に尽きると思う。
上で触れた福田組要素の薄さも、上で褒めた役者が揃って悪役である理由も、シリアスな要素が強いエピソードを持ってきたことに起因する。

ここで言う福田組要素っていうのは、とにかく間をたっぷり使って力ずくで笑わせるアドリブ風コント仕立てのパートのことを指します。
あれが今回少なめだったのは、ひとえにシリアスなエピソードとの相性が致命的に悪かったから。
案の定、特に軸がシリアスなエピソードである今回はいつも以上に脚色部分が浮きまくって目も当てられへんことになっていた。
特に福田版オリジナルキャラクターの職員室チーム、シソンヌやムロツヨシの出る幕はもう恥ずかしくて直視できませんでした。
ということで逆に、コメディを任せられない悪役たちに関してはある程度見れるようなキャラクターに仕上がりましたという訳。

他にも色々と言いたいことはあるけれど、最後に一つ1番大きな不満を言うとすると、開久高校周りの脚色でしょう。

原作の北根壊高校編に登場しない開久高校を、まああくまでテレビドラマの劇場版ということで登場させましたってのはまだ分かる。
ただ、極悪校開久にピンポン玉売りつける流れの不自然さは流石に看過しきれないし、勝手に引き戻した智と相良が合流して倉庫で北根壊勢力と激突する、「クローズ」的なクライマックスのダサさは、原作どうこうでなくてシンプルにナシでしょう。
開久高校をニコ学みたいにしやがって。

しかもあろうことか、勝手に智vs大嶽、相良vs柳までやり始める始末。
原作ファンが好きなパワーバランス議論に水を差す、リスペクトのかけらもない脚色。
ああいう、不良漫画とかバトル漫画って、直接戦ってない強キャラ同士でどっちが強いとか、そういう話するのが楽しいのに、何をしてくれとんだ。
しかもさらに、がっつり智とやり合って弱り切って逃げ出した大嶽に対して伊藤がリベンジを果たすという最低最悪の改変。伊藤が弱いままやんけ。

だいたいからあんな大乱闘にリコが駆け込んでいく描写にも違和感しかないし、いくらなんでも今井が弱すぎるし。
結局、特に手を加えずサラッと差し込んだ原作のギャグパート(鎧のくだりとか)が唯一笑えたし。

そもそもシリアスなエピソードを自分でチョイスしておいて遠慮して自分の作風を抑えるって、何がしたいねん。
上では一応良かったポイントとして挙げたけど、意図した演出というよりは、シンプルに持て余しただけでしょう。
結果的に、個人的にはそのおかげでまだ見られる仕上がりになったなと思ったけど、逆にドラマ版ファンはこれ見て満足したんやろうか。
とことん中途半端である。
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