寒さに耐えかねて図書館を占拠したホームレスと、彼らに味方したある職員の話。
もっとユーモラスに、もっと過激に、或いはドキュメンタリーのような演出にもできただろう。けれども私はこの作品の描き方が好きだ。
地味で非力で行き当たりばったりで、でもこれこそが非暴力の抵抗運動なのだと思わせる。
トラブルに巻き込まれただけとも見える主人公が、実は彼なりに腹をくくって行動していることが徐々にわかってくると、応援する気持ちにも熱が入り、彼が「怒りの葡萄」を朗読したシーンでは「おぉ…!」と声が出た。
一方で、私の中の醒めた部分は、「逆の立場なら彼らは君を守らん。連中は友達じゃない。君を見捨てる」という警察のビルの言葉にも頷いてしまう。
現実においては、立場の違う者同士が連帯することも、ホームレス問題のような解決の難しいイシューに一石を投じることすら容易ではない。
自分を犠牲したところで何も変わりはしないよ…と、半ば諦めに似た心境で警察の突入シーンを観たわけだけど…。
いや、まさかね!あんな手段に出るとは…!!
悲観主義もほどほどにしようと思いました(笑)