aya

パブリック 図書館の奇跡のayaのレビュー・感想・評価

パブリック 図書館の奇跡(2018年製作の映画)
3.3
オンライン試写にて。
新作映画を観に行くのも少し躊躇うご時世なので、こういう機会をいただき有り難く思います。

原題は『The Public』。
「図書館の奇跡」の部分はものすごくありがちな邦題。(ナンチャラの奇跡すきだよな)
予告のユーモラスな雰囲気、「〇〇の奇跡」という邦題でなんとなく「閉館後、極寒の空の下に放り出されるホームレスが図書館に立て篭り、巻き込まれ型の主人公が巻き込まれた挙句、あることないこと報道されたりするけど、最終的に彼らの要求が通って、人間わりとあったけぇなぁ!」みたいな感じの映画かしらと思いましたが、想定の5倍くらいシリアスなというか、社会派な映画でした。
映画自体は悪くないのですが、映画の予告と映画そのものに乖離を感じるのは元も子もないと思うのですが。

映画の主題は、タイトル通り「The public」(公共のもの)とは誰のためのものか?なんのためのものか?
という問いかけに尽きると思う。

図書館はどんな人間も知・情報へアクセスできる公共施設だ。
そして、知・情報は前にすべての人間は平等、公共のものである。
主人公自身も実は昔はホームレスだったが、本に出会い、知識を得て、学位と職を手にすることができたという。

そんな彼だからこそ、この騒動に巻き込まれてしまうのだが。
ラストシーンはなんとなく、奇跡というほど感動的でもなく、どこかシニカルな雰囲気でしたが、この映画のラストとしては納得できるものでした。

この映画では、貧富や知識格差など、様々な問題を提起しようとしている。
それだけに、なんとなく焦点がぼやけてしまったようにも思えました。
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