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おとうとのyamanamiksのネタバレレビュー・内容・結末

おとうと(2009年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

男はつらいよのバッドエンドみたいな話。
泣けはするけど、なかなか不満です。

鉄郎の風天みたいな設定とか、結婚する時の「いいでしょ?」とか、男はつらいよシリーズを連想させるシーンが沢山出てくる。でも喜劇に出来ないくらいリアルな問題にあふれてるし、倍賞千恵子と吉永小百合を比較してしまう(そう出来ている様にも見える)。だからこそ見ててずっと辛かった。兄をマドンナよりも強い愛で包んでいるさくらと、威厳たっぷりに冷たい目で弟を見る吟子。当たり前だけど全然境遇が違うがっかり感があった。こんな気持ちになるなら全く別物として見る心でいたかった。

中盤のテンポが全然合わなかった。脚本が丁寧過ぎて逆にまわりくどい。例えばメモを握りしめてるのに「番号は?」って聞いたり、お付き合いしてる彼がいるのに「誰と(結婚するの)?」と言う。視聴者にそんなに信頼がないのかなと思う。
そして細部にこだわりを持つ事で有名な山田監督が、はっきり「ホモ」と落書きされてあるロケ地を画面内に入れているのが嫌だった。

おとうとを褒めずあんな人間にしたのは君達兄妹じゃないか?そう言われ負い目を感じていた。なのに姑を老人にしたててるのは吟子と小春だと思う。最後のシーンはその皮肉としか受け取れなかった。あと、長田さんが「大工は嘘をつく」って言ってるから小春に対しても体裁を保つ嘘をつくんじゃないかと勘ぐってしまう。

みんな上手なのにとてももったいない作品だった。でもこの作品があったから家族はつらいよに繋がったような気がする。
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