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見えない目撃者のtokoのネタバレレビュー・内容・結末

見えない目撃者(2019年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ちょこちょこ付け加えました。

大傑作!!!!
大傑作過ぎて驚きました。公開時どうしてもっと話題にならなかったんだろう。

(以下上手くまとめられそうにないので箇条書きで)

・映画を構成する全ての要素のレベルが高かったです。まずは不自然な説明台詞が一切なかった事から触れていきます。映画ってまずここが基本だろうと私は思ってるのですが…多くの邦画は主人公の独り言や独白...妙に物知りな第三者の突如始まる解説ばかりで。そんなやり取りを見かける度に “またかよ〜...もっと考えれば色んな伝え方があるでしょうに“ とゲンナリしてしまうのですが, この映画には一切それが無かった!!! (感動🥺)

・感傷的すぎる音楽が無いのも良かったです。作曲家の大間々さんは「スマホを落としただけなのに」でも音楽を担当されていて, 実はその時は全くいいと思わなかったのですが…やっぱり音楽の使い所ってとっても重要だと改めて思いました。
「見えない目撃者」は主人公が盲目なのもあって「音」や「匂い」の演出にもの凄いこだわりを感じました。

・音楽の話でいうと、劇中、疑問や謎が生まれた時に何度か流れるフルートのテーマ。その謎の全貌が見えてきた所ではそのテーマに低音楽器の厚い支えが加わって曲が壮大になる所がめちゃくちゃカッコいい。使い方やタイミングがブラボー👏👏
チェロバスがメインのブウォォォォンって曲もボーダーラインのヨハン・ヨハンソンっぽくてムフっとなりました。

・カメラワークもむちゃくちゃカッコよかった!! 特にスケボーに乗る高杉君の足元のカットが私は好きです。遺体を見つけるシーンのトモロヲさん、大倉さんのスローの顔のアップから土建屋の建物を上から、ぐぅーーーーっとカメラが移動して4人の少女の遺体を見せるショットも, ショックを受けつつ、映画好きとしてはついつい “クゥー😆 なんてかっこいい撮り方するんだよ“ なんて思ってしまいました。

・俳優陣も脇役まで「演出」がちゃんとされてるんじゃないんでしょうか。作品の中でちゃんと統一感があるというか。
俳優の演技の不自然さって演出する側が指摘しないのが問題なんじゃ?と最近思い始めたんですよね。(「スマホを落としただけなのに」でめちゃくちゃ気になった)
この映画では徹底的に不自然さがないように作られていて気持ちがいい。
特に係長の方の演技が一瞬、邦画でよくある所謂「臭い」感じになり掛けたとき(「らどこだ!どこにいる!」ってとこ)も、即座に画面を切り替えてそこまで気にならないように編集されてるように見えました。

・テラスハウス(東京編)に住んでいた田森美咲ちゃんの友達でチラッと出演していた坂ノ上茜ちゃんがレイサの友達役で出られてて、おっ!となりました。笑
彼女の演技も声のトーン、目線とか自然でとってもよかったです。


・配役的に割とすぐに浅香くんが犯人だろうって分かってしまったけど、私にはそれでも充分面白かったです。
「セブン」や野木先生の「アンナチュラル」も犯人が早い段階で分かるけれど、それからが更に面白い。それと似た構造になっていたと思います。

・主人公の反撃は「サプライズ」を思い出しました。

・日本映画でもこんなにカッコいいアクションが撮れるんですね…感動だ…!!!
川沿いのアパートの長い廊下で追跡シーンも好きだったし,吉岡さんの投げ技も綺麗だった。オープニングと鏡になってるのも高まるポイント。
そして、なんと言っても大倉さんと浅香くんのファイトシーンは、まさに日本版「プライベートライアン」でした。グロ描写も攻めてて最高。クッションを盾にして羽が舞うショットは狂気と美しさが共存しているようで思わず、ウットリしてしまいそうになりました。その後に起きる斬撃を知っているとまるで「ドライブ」のエレベーターのシーンのよう…(全然違う)

・クライマックスでの犯人も含めて六根清浄が達成されてるのは、映画ファンとしてはまたクゥ〜っとなるポイントですけど、私自身としては、彼にはちゃんと生きて罪を償って欲しかったです。

・つまらない商業的な漫画原作の実写化映画を量産するより,韓国の良質な映画をお金をかけていい監督で日本らしくリメイクするのって全然悪いと思うんだけどな。

いや〜,
普通に面白いと思えるクライムサスペンスに出会えて嬉しいです。
韓国版も観てみようと思います。
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