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燃ゆる女の肖像のGONのレビュー・感想・評価

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)
4.2
鑑賞後はほんとに1週間弱の間に起きた出来事かよと疑うほどの内容の濃さ。
演出の上手さが尋常じゃない!
この芸術性の高さはドランに匹敵する…

僕にとって芸術映画って言うのは、ほんの一瞬だけでも心を掴まれる様な奇跡的な映像が見られればそれだけで十分合格だと思ってます。
そう考えてる上で鑑賞したこの作品は、映像表現の最大瞬間風速がぶっ飛んでる。特にあの海岸のシーンは僕が今まで観てきた映画の美しいシーンランキングで上位に入ると思います。
他にも主人公2人の髪の毛の色や服の色、夜の暗闇と炎の様に色の対比が堪らないほど最高に美しいんです!


さて本題に入りますと、この作品はLGBTを題材に扱ってるんですけど、LGBT扱ってる映画って傑作多いですよね。
これらの傑作にはいくつか共通点があって、挙げてみるとこんな感じです↓
・ストーリーの約8割を二人の関係性に焦点を当ててるから話に奥行きがあって感情移入しやすい。
・映像が美しい。特に、自然色。
・極端にセリフも動きも少ないのに、物凄く感情豊富に見える(要するに演技者の演技力がバケモン)
・ラストシーンが印象的

この上記4項目は初見でもその凄さがビリビリ伝わってきますね…!
この作品は主要キャラを僅か3人+‪αに絞ったからこそキャラの関係性を細かく知れて、心を揺さぶられたんだと思います。
ラストシーンの長回しも素晴らしかったです。『君の名前で僕を呼んで』でも見られるこの主人公の長回しシーンはその作品においての最重要シーンであり、セリフは無いくせに色んなことが詰め込まれまくってるせいで滅茶苦茶考えさせられるんです笑
ところどころ女性にしか分からないであろう性的なシーンもあったので男の僕が理解できないシーンもありましたけど、それ以前にこの映画は主人公2人による、性に悩む人達の為の作品であるので第三者である僕の様な観客が理解出来るほど単純な話ではないんですよね。
そんな理解できない僕でもこの作品の奥底にある燃え盛る力強いパワーを感じたし、複雑な二人の関係性をずっと見ていたいとさえ思えました。

珍しく新作でスッゲー良いもん観れたなって満足して劇場を出れて嬉しかったです。
センスの良い芸術映画はドラン以外にはもう作れないんじゃないかと思ってた矢先に出会ってしまったこの傑作、本当に感謝しかない…
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