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燃ゆる女の肖像のnanaのレビュー・感想・評価

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)
4.5
18世紀のフランスに生きる女性画家マリアンヌと娘エロイーズ。女性同士の追憶のラブストーリー。

波と崖に囲まれた島にある館、パンと固いチーズ、赤ワインだけの食事、暖炉と蝋燭の火。何もないからこそ、人物たちの発する声や視線に引き込まれる。台詞の一つ一つが意志のこもった言葉で、とても濃密。全ての感情を簡単に曝け出せないからこそ生まれる美しさがあるのだと感じた。音楽が流れている時間が彼女たちが精神を解放できる時間だったのだろうな。

マリアンヌとエロイーズの恋がもちろん主題ではあるのだけれど、わたしは二人と召使いのソフィが共に過ごす時間が好きだった。昼間はそれぞれの役割を演じ、夜になるとみんな平等の一人の女性になって、文学や音楽、トランプを楽しむ。エロイーズが「修道院は平等でよかった」と言っているように、平等を重んじる人物として描かれているのも良かった。マリアンヌとソフィの別れの場面はぐっとくる。
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