Ryan

ポルトガル、夏の終わりのRyanのレビュー・感想・評価

ポルトガル、夏の終わり(2019年製作の映画)
3.2
彷徨い


ストーリー
癌で余命わずかの世界的名女優がポルトガルの美しい避暑地へ呼び寄せた家族や親友たちが織りなす人間模様の行く末を描いた群像劇。


主演 イザベル・ユペール
監督 アイラ・サックス


イザベルユペールがラブコールを送り実現した今作。
大人と若い世代がそれぞれ会話をする物語であるが、とても奥深く美しい自然の中で人間が演出しようとする様を描いてある。
正直、テンポは遅い。それもそのはず、家族の物語をある視点を通して淡々と静かに進めていくからだ。そのためなかなか出口が見えない。その出口を見つけ脱出できたのは確かな実力と知名度を持つ名役者たち。
彼らの存在がなければ今作は謎のまま終わっていたかもしれない。

多分、大胆な解釈をすると今作のタイトルは「おせっかい」
余命が近い大女優の周りにいる人々を巻き込みながら自分の物語として完結させようとしている。そのやり方が今作は見事で、観る人によってはおせっかいだと感じないかもしれない。しかし、私的にはおせっかいと受け取りそれを綺麗にあくまでも偽善的に包み込もうとする様はこの映画のもう一つのテーマのように感じられる。

どうやら日本映画が大好きな監督らしく、小津安二郎への造形が深いとか。
また違った形のバカンス映画を観たい方にオススメ。
Ryan

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