スベン

ANNA/アナのスベンのレビュー・感想・評価

ANNA/アナ(2019年製作の映画)
3.0
KGBのスパイもの…と思ってたら、華やかなモデル業界から始まり、良い意味で面食らう。リュックベッソンのおしゃれでスタイリッシュな映像で二つの世界を垣間見ることができる。
キャストがいいので、それを楽しむべく作品であり私にとってはそれが唯一の救いだったかも。
 
ソ連崩壊間近で緊迫が綻びだした時代。
そんな冷戦末期の80年代後半、90年代初頭の世界にはとても見えず、むしろ2000年代に見える。当時のソ連特有のじめっとした陰湿な雰囲気やKGBの堅苦しく非道な組織感は薄い。
更に、どう見てもMI6にしか見えないCIAのキリアン。同じくMI6じゃないんだ?!と思うKGBのルークエヴァンスにヘレンミレン。
他にも英語を喋るロシアものの作品はあったけど、今作は違和感を覚えてしまう。
舞台がパリなら、思い切ってMI6の話でよかったのでは…

世界観に馴染んできたかもと思ったら時間軸の逆再生が何度もぶちこまれ、また振り出しに戻ってしまう気持ちの行き場のなさ。
望まぬ選択を強いられるアナが組織に翻弄され、悩むのも薄めな印象しかない。訓練描写もほぼないので、スパイの泥臭さやKGBの陰湿さはあまり感じられない。
その点、「レッドスパロー」はかなり生々しかったので、こちらは作り込まれてたんだな〜と改めて実感。時代が近いなら「アトミックブロンド」の緊迫感と迫力のアクションは凄かった。

前作の「ヴァレリアン」も観ながら他の作品を思い出してしまったけど、今作も然りで。最近のベッソン監督作品は私にはちょっと合わないのかも…ごめんなさい。
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