まなみ

BEYOND BLOODのまなみのレビュー・感想・評価

BEYOND BLOOD(2018年製作の映画)
-
観たよ



※ちょっと熱くなったので長いです



ハイテンションでエクストリームな作品で知られるフレンチホラー監督5人によって03〜08年にかけて生まれた“ニューウェイヴ・オブ・フレンチホラー”の背景や後に与えた影響を語る
小林真里監督によるドキュメンタリー作品

「ハイテンション」のアジャ「フロンティア」のサヴィエ「屋敷女」のジュリアン&バスティロ「マーターズ」のロジェと大好きなフレンチ・ホラー監督達が自作の魅力を語ってくれるのはファンとしては涎が止まらない!!


チャレンジについて話すシーンではジュリアン&バスティロが大女優のダル様をコントロールするのが1番のチャレンジだったと語り思わず頷いてしまう(気強そうだもんね…)
そんな彼等の心配もつゆ知らずのダル様、思いの外ノリノリで演じてくれて一安心だったとか笑
   
トロント映画祭での出来事を無邪気に語る監督達
其々が自国では得られなかったアメリカでの思わぬ好評価に最高の思い出になったと語る中
イキった観客の一言にパスカル・ロジェがミヒャエル・ハネケ(巻き込み事故)にブチ切れ!
「あいつは観客を下に見ている!俺はそんな事は絶対にしない!!あいつは豚野郎だ!」
これには思わず爆笑🤣
皆ハネケには思う所があるんだなぁと少し共感←


またアメリカン・ホラー映画監督のゲオガーガン(「喰らう家」)とベゴス(「人間まがい」)まで登場(わーい①)
ベゴスは無駄な残酷描写で溢れていると「ソウ」や「ホステル」をdisりオーガニックでスタイリッシュな描写を持つフレンチ・ホラーをリスペクト…

嫌、アメリカン・ホラーにはアメリカン・ホラーの良さがあるのになぁ…とアメリカン・ホラー監督であるベゴスのファンなだけに複雑な気持ちに🌀
確かにアメリカン・ホラー作品は量産体制が故に先の読めるストーリー展開や只のトーチャーポルノに収まってしまっている作品も多々ありますが「ソウ」や「ホステル」がそれに当て嵌まっているかは疑問に思う所です…

少しですがJ・ケッチャムも登場(わーいわーい②)
彼がホラーを語るだけでもう…
素晴らしい人選に小林監督よありがとう!

フレンチ・ホラーは芸術的だと語るアメリカン・ホラー監督達
でもフランスではホラーは芸術として認められずサブジャンルの枠から出れずに消えていってしまう(自国の作品である筈なのにフレンチ・ホラームーブメントすら知られていないと言う)
尚且つフランスでヒットするホラーはアメリカン・ホラーと言う皮肉…
フレンチ・ホラー監督達の悲痛な思いが胸に刺さりました。

同時期にブームを起こしたスペイン・ホラーにも少し着目されていてその評価の違いに国民性が出ているのも面白い


5人の監督達はそんなフランス映画産業の背景もあって今はアメリカで活動をし(其々の活躍はご存知の通り)時代は流れ00年代を圧巻したフレンチ・ホラーブームも終わりを迎えました。
ですが今、新たな監督達によって再びニューウェーブが生まれようとしています


時代が変わり観客達の意識も変わる中、他国ではありますが一ホラーファンとしてホラー映画業界が盛り上がるのは大変好ましい事なので、日本もこれに負けず良質でも下品でも、過激で熱いホラー作品をじゃんじゃん製作していって欲しいものです!
まなみ

まなみ