ふっかー

ディエゴ・マラドーナ 二つの顔のふっかーのレビュー・感想・評価

4.5
あの大歓声!
1984年イタリアSSCナポリへの移籍会見。
スタジアムに8万5000人!が詰めかけた。
まだW杯での優勝の2年前。すごいわけです。

2020年11月に亡くなったディエゴ・マラドーナ。秘蔵映像と本人や近しい人のインタビューを基に、1984年のナポリ移籍から1990年代前半をメインに彼の半生を振り返る。
本作はマラドーナが亡くなる前年の作品で、ファンからすればまさに"よくぞ作ってくれた!"という思いでしょう。流れる音楽もいい。マラドーナのリズム感にマッチしていて冒頭から引きこまれました。

現代のサッカー界のスーパースターといえばメッシやC・ロナウド、イブラにネイマール?、あとは引退しているベッカム辺りでしょうか。レジェンドも含めるとスターは大勢います。
それでもとりわけマラドーナが別格に思えるのはなぜか。なぜマラドーナはあれ程までに人々に愛され神格化までされたのか。数々の悪い行いもしてきたのに。

やっぱり貧困街で生まれ育った生い立ちと、世界的スポーツであるサッカーでの栄光、プレースタイル、言動が人々に愛された理由では。いや、もうこれはマラドーナにしかない何かがあったとしか言えない(笑)
W杯5人抜きゴールひとつ取っても、W杯でですよ、W杯で5人抜きをマラドーナがやった。今だってすごいけど当時はすごいなんて言葉は軽く超越してたはず。
そのW杯での優勝と弱小チームだったナポリの優勝の流れで、彼の平穏な生活が全く無くなってしまったことは気の毒でもあります。マフィアとの付き合いが無ければ...と思わずにはいられません。

若き日のマラドーナはカーリーヘアとルックスのかっこよさに加えて、少年のようなあどけない笑顔があった。もちろんテクニックもすごいけど、練習は頑張っているというよりはボールと遊んでいる感じです。野性味ある走りも独特。本人談のスピードとテクニックのバランスのくだりは興味深いものがありました。

ただ、彼はもうこの世にはいない。
「それでもマラドーナは俺たちの憧れであり
永遠のヒーローであり神(に近い存在)なんだ!」
そんなファンの熱い思いが今にも届いてきそうです。
これからも、ずっと。


「ボールは最高のおもちゃだった」
 
 ディエゴ・マラドーナ
ふっかー

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