Holmes51

ハープーン 船上のレクイエムのHolmes51のレビュー・感想・評価

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【海は全ての悪事を見ているのだよ、リチャード・パーカー君。】

アリストテレスによれば、親友の種類は3つあるという。1つ目は実用性重視の友情。同僚などといった利用価値がある友達だ。次は一緒に居るだけで楽しい仲間との友情。気が合う友達やセフレもこれに当てはまる。最後は親友。尊敬し合える友達との友情。ゆっくりと築かれ、長続きするものだ。最良の友情の形だ。アリストテレスには悪いけど、友情の形は他にもある。その1つが時を超えた友情。昔親しかった友人が別々の人生を歩み、それでも本質は変わらずに、結局は…。


こんな言葉がある。人というのは結局の所、他人を責めている時に責めているのは自分の欠点だ、というものだ。


このタイトルから明らかだが、3人はとことん運に見放されていた。ベテランの船乗りは知っている。海では迷信が大きな役割を果たすのだ。この3人は不注意にも最初から悪運を招いていた。例えば、連休の前の金曜日は出航する船が少ない。そもそもキリストが磔にされた金曜日の出航自体が最悪。リチャードが左足から乗船したのも悪かった事だ。赤髪が乗るのも悪運を呼ぶ。理由は不明だが。ヨナという男が乗るのも悪く、アホウドリの像を投げ捨てたのも大問題。海で亡くなった霊を慰める為の像だ。黒いバッグは死と海底の闇を意味する。バナナも色々な意味で悪い予兆だ。…あともう1つ。絶対にカモメを船に乗せるな。これも極めて悪い意味を持つ。


海は全ての悪事を見ている。
Holmes51

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