むら

血筋のむらのネタバレレビュー・内容・結末

血筋(2019年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

中国朝鮮族の家族の話。
監督自身のドキュメンタリーだが、
まるでフィクションかと思うような人間の濃さ。
父親の体たらくぶりと、叔父の堅実さ、祖父母のやわらかさ、全てが振り切れてて、それを引き出す監督もカメラの前でさらけ出せる彼らも素敵だ。その結果まるでコントのような流れに笑える。
作中監督はほとんど映らない。その全てが監督目線の映像になっている。父親との会話でかなり際どい、今の私には踏み込めないことも話している姿はすごいなと思った。それは監督の人間性もあるかもしれないが、もしかすると"カメラを通している"というある種客観的視点に立てているからなのかもしれない。
とても冷静だった。18年越しに再会した肉親がここまで分かり合えないと辛い。それをどこまでも冷静に淡々とカメラに収めていた。破り捨てられた絵を丁寧につなぎ合わせ、そして焼く。印象的なあのシーンは冷静に受け止めていた監督が唯一表しようのない感情をさらけ出した象徴なのかなあと思った。
むら

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