冒頭で「実話を基にした作品」と出ていながら、SF作品ばりの世界観にサイレントヒルのようなクリーチャーが出てくるスリラー展開。
目まぐるしい展開に何が起こっているのか?と理由を観客は緊張感を持ちながら追い求めるが、そこにはシンプルな少女の再生物語があった。
大切な友人を失った悲しみ、人を裏切るような行為をしてしまったことへの自責の念、色々な思いや彼女の闇を可視化させることで彼女が自分自身と向き合い、自分を許し、前に進む姿とこの映画でキーとなるミックステープの再生を掛け合わせて巧く描いていた。
映画に分かりやすい答えやストーリーを求める人には難解かつ、退屈かもしれないが、映画という表現を通して、ここまでジャンルレスな表現の幅を広げられることを証明した意欲的な作品でもあるだろう。
2022:61本目