若き日のアル・パチーノとジョニデの共演が気になり見ましたが、ただのマフィア映画じゃなかった。
マフィアと捜査官の心が繋がってしまった故に、ラストが切なすぎました。
実在したマフィア、ボナンノ一家にFBIの特別捜査官として潜入したジョー・ピストーネ。彼は名前を〝ドニー・ブラスコ〟と偽り、命がけで信頼を得てファミリーになる。やがて6年という歳月が過ぎ、大量摘発に成功し捜査は終わりを迎えるのだが…。
潜入捜査という立ち場から家族に職業を明かせず、3ヶ月に一度だけの真夜中帰宅。娘たちの成長にも寄り添えず、大切な行事にすら参加できない。何も知らない妻は夫として失格だと責め続ける。
潜入捜査のはずがマフィア色に染まり、妻に手をあげてしまったシーンはとても悲しかった。
そして〝ドニー〟を信頼し後ろ盾してくれたレフティーを裏切ることができず、なんとか一家ごと逃がそうと画策します。
マフィアだけどレフティーは誰よりも妻と息子を愛していて、ドニーのことも息子同様に感じていました。
アル・パチーノが演じるこの人間味が、本作を素晴らしいものに仕上げています。
元捜査官ジョー・ピストーネは、今も証人保護プログラムで身を潜めて生活しています。一時期はその首に50万ドルの賞金がかけられていたそう。
全てを犠牲にして捜査を遂行したのに、自分の人生を送れないことの辛さ。
世界には、本来なら賞賛されるべき捜査官たちがたくさんいるはず。
