大橋

生きるの大橋のレビュー・感想・評価

生きる(1952年製作の映画)
4.0
官僚不祥事が問題になると、必ずと言っていいほど、この作品と司馬遼太郎の「坂の上の雲」が挙げられてきた。
「坂の上の雲」は明治維新直後の官僚はただひたすらに坂の上の雲を目指して、仕事をしていた、という「昔の官僚はよかった」という例えとして、「生きる」は「官僚組織」の悪い例として。
それゆえ、昔から気になっていて見たのだが、たしかに官僚組織批判に相当程度時間は当てられているのだけれど、どちらかというと、主人公が自分が末期癌であることに気付いてから、人間性を取り戻していくストーリー展開にこの映画の面白さを感じた。
特に、元部下の若い女性から、「私はただ玩具を作ってるだけよ。課長さんも何か作りなさいよ」と生きるヒントを与えられた時に、二人がいたカフェ内で他の客が誕生会を開き、ハッピーバースデーを歌っているのだが、それはまるで、主人公が生きる意味を見出し、生まれ変わったことを祝っているかのように表現しているところが秀逸。
命短き恋せよ乙女、子供の頃、聴いたことがある曲はこの映画で使われていたのかと初めて知った。
どうでもいい話だけど、僕が知ってる限り主人公がナレ死をするのはこの作品が最初じゃないかと思った苦笑
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