2発の銃弾から始まった物語は互いに違う軌道を描きながら、1発の銃弾へと導かれる。
足に撃ち込まれた銃弾はその裂けた傷が癒えるまでに起こる痛みも膿も全てが深まり皮膚と皮膚が近づき合い紡ぎ合わせるように2人を1つにしていく。
頭に撃ち込まれた銃弾は小さい傷口が渦の如く、世間を巻き込んでいく。それは広がった血の海よりも大きく濃く。
今年は多分50本くらいしか映画見れてないんですけど、最後の最後に素晴らしい作品に出会えた。2年前に製作された映画らしいのだが、ここまでの良作が何故劇場公開も円盤も発売されることがなかったのか。
劇中に流れる音楽のセンスも色彩のコントラストもそれに伴う役の衣装もかなり良かった。まあとにかくスタイリッシュなんだけどそれで終わらずしっかりと作られた物語がそこにはある。
2人の行動が世の中に起こしていく波紋は彼等の知らないところで大きくなっていき、その孕みが破裂した時にまた違う解釈を持った似たような事が起きる様はまさに今の世の中だ。
他とは一味違う男女の逃避行。