Ken

グレート・ハック SNS史上最悪のスキャンダルのKenのレビュー・感想・評価

4.0
2020年266本目。
怖いなぁ。ひたすらに怖い。
「自問せずにはいられない。自分は操られるのか?あなたは?」
刺さる。

Netflixのドキュメンタリー作品。
2016年のアメリカ大統領選やイギリスのEU離脱に関わったケンブリッジアナリティカ社(以下CA社)というデータ会社に関する作品。
CA社はFacebookのデータを利用して、選挙に大幅に介入したと考えられている。そして、そのデータが不正に入手されたものであることが原因で、社会的な大問題になった。この件がきっかけでSNSの闇が見えてくるようになったとも言える。
本作はそのCA社に関与した人々を追ったドキュメンタリー作品である。


とにかく、怖いことのオンパレード。
「人をつなぐはずのプラットフォームが兵器と化した。」というセリフの通り、様々な事例が取り上げられる。


例えば、CA社では政治的立場を決めかねている人を、説得可能者と呼ぶ。その説得可能者数を選挙区ごとの人数を割り出し、投票結果を変えられそうなところを絞る。
その地域の説得可能者に対して、"あなたにおすすめ"のような方法で、そういうタイプのブログ、記事、動画、広告などありとあらゆるアクションで情報攻めをする。望み通りの思想になるまで。
つまり、データを基に効率的にアプローチして、選挙結果に繋げたということ。
アメリカの選挙方法から、有権者の本当の半分が賛成する必要はない。より多くの選挙区で勝てればいい。


恐ろしいことは、オンライン上のデータを利用すれば、心理的変化に追い込み、行動を変えてしまえること。そして、国を変えてしまえること。

CA社の紹介資料では「我々は行動を変える機関です。情報伝達の究極の目標は行動を変えることです。」と述べている。
同様にそこには、「首相や大統領の選挙活動を年間10件引き受けています。マレーシアもリトアニア、ルーマニア、ケニア、ガーナ、ナイジェリア。ブレクジットキャンペーンも。」とのこと。


SNSというかデータ化する社会の恐ろしさを本当に感じる。
でも、そういう問題意識をもって世界が変わり始めているという事実も感じることができた。
「議会の18か月間の調査では証人を全員召喚した。最終報告には"選挙法は目的に合わない"とある。この国では自由で公平な選挙はできない。」というセリフ。
こうやって時代にあった法律や方法に変わっていくんだなって思った。イギリスはいいな。
イギリスの議員の質問で「国民のデータを守るため国会議員は何をすべき?」というもの。日本の国会議員もこのくらい言え。


考えなければならないことは、じゃあこの作品を見て、ぼくたちはどうすればいいのかということ。
Filmarksも使うのやめる??ここに書くことって、ものすごく思想がでるじゃん。
でも、危ないから使うのやめるっていう思考は違うからね。
とてもむずかしいk



この作品と同じNetflixの「監視資本主義」はこれからの子供たちに伝えなければならない内容だと思う。
「監視資本主義」はデータを抜かれる方法と思想が変えられる仕組みについて詳しく説明してくれる。本作ではその抜き取られたデータを基に思想を実際に変えられた事例と、その影響力の巨大さを教えてくれる。
Netflixは何を目指してこの2作を作ったのだろうか。もしかして、ぼくも既に操られていて、そういう思想にされているだけなのだろうか。

攻殻機動隊の草薙素子じゃないけど、どこからが本当の自分の思考なのかがわからなくなってくる怖さを今実際に感じている...
Ken

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