サブリミナル効果

少年の君のサブリミナル効果のレビュー・感想・評価

少年の君(2019年製作の映画)
5.0
人生史上1番が出た…

欠かさず聴いてるラジオ『むかいの喋り方』にてパンサー向井さんが熱弁していて(7/27)絶対に見たいと思ってたずるずるここまで来てしまった…長文で乱筆ですが、どこが良かったか3点あげて考え直しました!
①ベタな設定を感じさせない俳優陣の演技の凄さ
進学校でいじめにあう優等生の主人公とストリートチルドレンの少年が彼女を守るというだけだと一見ありそうだなと思うかもしれない。
しかし、俳優陣の眼差しや泣きの演技は、役柄のオーラまで演じきっており、役に憑依しているというレベルを越えていた。天才だ。あんなドアップで眼だけで芯の強さや信念を演じ切れる俳優は見たことがない。
中でも特筆したいのが涙の演技。この映画はあらゆるシーンで泣きの演技がある。嬉しさ悔しさ辛さ…(分類したらもっと細かいけど)あらゆる感情が絡み合って出る涙は、どれ一つ取っても重なっているものはない。それが同じいじめに遭っている時でさえそうだから信じられない。涙が頬をつたうシーンは、凄すぎて生唾を何度も飲んだ。美しすぎる…ぜひ意識的に見ていただきたい。恋愛のシーンでもきざっぽいセリフが、違和感なく自然にハマっていて凄い…
②要素が多いにも関わらず全てを観客に分からせる高い構成力
 映画の全てのジャンルを網羅していたのではないか?というレベルにメインのいじめ問題以外の要素も多くて大充実!恋愛、親子、ミステリー全てを楽しめた…それにもかかわらず、観客を置いてきぼりにさせない高すぎる構成力。そしてどの要素も深く考えさせられる分厚さ!
・学校のいじめシーンでのスマホを効果的に使いインパクトが残る魅せ方
・時系列を変えても、ギリギリ整理しながらのめりこめることが出来る〇
・様々なサブキャラの視点が多く、心理描写が濃い
これ以上に奥行きを感じる様々な仕掛けが施されているため、飽きることなく世界観に没入できる。
③カメラワークや映像美の素晴らしさとマジックのような伏線
特に学校のシーンのカメラワークは自分もクラスの一員に溶け込んだかのような緊張感を味わえる。もう一回見てどのカメラの撮り方がここまで臨場感を与えるんだろうっていうのを確認しよう~伏線回収が本当に気持ちがいい。サブキャラにまで伏線が張られているので細部まで意識的に見てもらいたい。

(自語りです)ここまでハマったんだろうって改めて考え直す…
主人公のチェンニェンのどんな状況下でも信念を貫き通す姿に私は惚れたと思う。
自分を信じる力や信念を突き通すことって大人になっていけば行くほど難しい。
自分を殺すことで他人に迎合して少しずつ擦れていってしまうと思う。
心のすり減りから目を背け続けた自分にとって、真逆のチェンニェンの言動やまなざしから溢れ出る勇ましさがめちゃくちゃ刺さったんだと思う。自分を信じて貫き通すことって本当に難しい。私は就活で自分で自分を信じ続けられなかったこと、迎合していたことが凄くコンプレックスとして今あるから本当に本当に沁みた。
自分を信じ続けることと他人に迎合せず信念を貫くことの重要性に気付かされた。ハッとさせられたな…あのまなざし。