シリシャリ

スーパー30 アーナンド先生の教室のシリシャリのレビュー・感想・評価

4.0
「もう王の子供は王じゃない。王になるのは能力ある者だ」

一見希望溢れる言葉に聞こえるけれど「じゃ、能力の無い者は?」

2003年、インドの片田舎で始まった教育プログラムが全世界の賞賛を浴びた。天才的な数学の頭脳を持ちながら、貧しい生まれのためケンブリッジ大学への留学を諦めたアーナンド・クマールが始めた私塾スーパー30。全国の貧しい家庭から優秀な頭脳を持つ30人を選抜して、無償で食事と寮と教育を与えるというこのプログラムは、開始した年から、世界三大難関試験の一つと言われる、インド最高峰の理系大学“IIT(インド工科大学)“へ塾生を送り込むという快挙を成し遂げた。
このこと自体は奇跡のような素晴らしい実話なんだけれど、大事なのは、その後スーパー30のおかけで力を付けた者達がスーパー30に運営資金の寄付をしたり「能力の無い者」「虐げられて生きる世界中(とまでは言わないまでもせめてインドの)民衆」の幸せの為に力を尽くしていて欲しいと思った🙏

アーナンド・クマール役を演じたリティク・ローシャンは阿部寛ではなく🤣2018年に“世界で最もハンサムな男性ランキング”で6位となったインド映画界のイケメンスターなのだそう。

あと、物語では予備校を経営するラッラン(アーディティヤ・シュリーワースタウ こちらは西田敏行ではない🤣)に見いだされ、たちまち人気講師になって豊かな暮らしを手に入れたのにいくら使命に目覚めたとはいえ世話になったラッランに対して筋を通さなかったことが気になったが、実際は1992年、天才的数学者ラーマーヌジャンの名をとった「ラーマーヌジャン数学学院」を設立したアーナンド・クマールは10年後の2003年にSUPER30を始め、その運営資金には政府や企業や個人(卒業生からも?)の寄付は受け取らず、彼の「数学学院」の収益を当てていたそうなので、ラッランのくだりは創作なのだろう。

生徒役は名があったり、演技経験者なのかと思っていたが、ビハール州を中心に15歳から17歳までの演技経験のない15,000人以上からのオーディションで選ばれた30人であり、選ばれた中にはアーナンドの実際の生徒も含まれているという。どの子だったのかな?あの子達の中から俳優として歩み出した子もいるのだろうか?