Sho

ゾンビ-日本初公開復元版-のShoのレビュー・感想・評価

ゾンビ-日本初公開復元版-(1979年製作の映画)
3.8
初見は1979年、今はなき日比谷の有楽座にて観賞しました。

当時、私は中学生。人生の中で最も精力的に映画を観ていた時期です。両親が観て感動したという洋画邦画の古典から最新の封切り作品まで、「スクリーン」「ロードショー」「ぴあ」などの専門誌を首っ引きで、目についたものはすべて観ていました。

とはいえ、この作品は正直、食指が動かず、観る予定ではなかったのです。父親から映画の株主招待券を2枚もらったので、友人を誘って有楽座で上映中だった「オーメン2」を観に行ったある週末のこと。劇場についてみたら、看板が「ゾンビ」に変わっていて、まずそれだけで2人そろってショックを受けました。その頃は上映期間のチェックが疎かだったので、その日から「ゾンビ」に切り替わることを知らずに出かけてしまったのでした。

「人が生きたまま食べられる映画らしい」というだけでビビっていた中学生2人は、しばらく劇場前で逡巡していたものの、「このタダ券を無駄にできない!」という貧乏根性から、勇気を振り絞って観ることにしました。ゾンビが足に食らいつくシーンや、ハデに吹き飛ばされる脳髄、ゾンビの首だからこめかみにドライバーを突き立てるとこれがスローモーションで表現されていたのものなどが強烈に脳裏に焼きついて、劇場を出たあとどこにも寄らずに2人、うつむいて帰途についたものです。

その後、リバイバル上映やテレビ放映などで再見しまさしたが、有楽座で観た、映画の冒頭、惑星が爆発してその光線が地球に降り注ぎ、死者が蘇ったという説明シーンが無くなり、劇中の細かいシーンも表現が異なる部分があって面くらいましたが、なるほど、さまざまな事情でいろいろなバージョンがあるのだなと知り、納得しました。

また、見返してみると、そのたびに監督がゾンビにこめたメタファーが理解できるようになり、何度見ても飽きないライフタイムベスト20に入る作品となりました。
Sho

Sho