金宮さん

劇場の金宮さんのレビュー・感想・評価

劇場(2020年製作の映画)
4.0
又吉さんは創作系こじらせの痛々しい描写がほんとうに上手い。自身の感じたものを発露しているのだろうからとってもリアルだしグサグサ刺さる。

そして、そういった負の要素を鑑賞者にも伝わるかたちでアウトプットできるということは、「咀嚼できている=そういった人間を許すことができる」ということでもあり、日頃テレビやYouTubeで見かける「根っからというより、優しい態度を選択できる」という素敵な印象そのままの人なんだろうなとあらためて思う。

また『火花』に比較して今作の痛さは業界外の人にも迫るものになっている。ひねくれている人間全般に向けたあるある。劇中、随所にはさまるモノローグに「その通り!それがわかってて、なんで間違っちゃうんだよ。。」と感じるのだが、ラストの仕掛けにそういうことかーとなる。

原作未読なのだが、この仕掛けは行定監督の手腕なのだろうか。実は『ロックロールミシン』でもやっていたように、モラトリアム描写は抜群に上手い監督。ラストは後悔とその余韻が何倍にもなる素晴らしいものだった。

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・永田は友人には恵まれてると思う。最後、少しだけでも素直になれたのは彼らが諦めなかったから。寛一郎さんと伊藤沙莉さんって、頼もしい友人のイメージが強い。『チワワちゃん』『泣く子はいねぇが』『寝ても覚めても』など。

・「まだ死んでないよ」は確かにネーミングとしてダサい気もする。又吉さんは『火花』でのコンビ名もそうだったけど、これ系のネーミングセンスも非常に高い。
金宮さん

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