タナカ

劇場のタナカのレビュー・感想・評価

劇場(2020年製作の映画)
4.6
なしがあるところがあんぜん

途中何度か梨を剥いているシーンや、乾燥しかけた梨がパッと映し出されていた。
最初は林檎と思い込んでいた。
しかしそれは梨だった。
わざわざ、さきちゃんが梨の名前を何度も出すので何か意味があるのだろうかと不思議だった。

ただ果物を出す優しさがあることに意味を持たせているのなら梨でなくてもっと一般的な林檎を選ぶはず。

「無しが有るところが安全」

又吉先生はこれを意図して書いたのだろうなと。圧巻だった。
助演男優賞に梨を表彰したい。


私事ではあるが、初めて芸能人に対して応援したいだとか好きだという感情を抱いたのはピースの2人だった。彼らの出る番組は全てチェックしていたし、ブログが更新されると慣れないパソコンにかじりついて読んでいた。
そんな時から約10年以上の月日が経ち、彼らは自らの新しいステージを探しに旅に出ている。サッカー選手になりたかった又吉、椅子工場で働いていた綾部。
2人の想いは重なって花火になり、新たな花火を打ち上げる準備をしている。勝手に私はそんな気がしているのだ。

彼らが売れっ子になった頃はもうコントや漫才はせず、テレビを動かす歯車となっていた。もしかしたらこれを読んでくれている方はピースのお笑いに触れたことがないかもしれない。

ピースのコントは一言で表すとピースなのだ。幸せに満ちている。ただ甘いだけの幸せではない。愛らしい憎らしいボケと、憎くも愛のあるツッコミ。
ぜひ劇場を観た皆様にはキングオブコントの2010年の2人のコントを見ていただきたい。
きっとピースを好きになるはず。
タナカ

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