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Mank/マンクのpenのネタバレレビュー・内容・結末

Mank/マンク(2020年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

『市民ケーン』の脚本家が主人公なので、その作品のモデルと云われるメディア王が作品上映を阻止しようとした逸話さえ知っておけば、さほど問題ないかなと思っていた。
実際はナチス・ドイツが台頭しつつある当時の政治情勢、後の赤狩りへ繋がっていくハリウッドで渦巻く資本主義との対立、1930年代のカリフォルニア州知事選挙で使われたフェイクニュースを用いたネガティブキャンペーンについて、知っておく必要があるのですが。

ここまで書くとハードル高そうな感じがしますが、それら歴史的な事柄を踏まえながらもフィクションの要素を注入して紡がれる「なぜ書くのか?」というストーリー展開は、皮肉屋なようでいて優しさを持ち合わせた主人公の心情や、脚本家の矜持を見せつける、熱さを秘めた歴史ロマンのようなドラマで結構好きです。というか上に挙げた歴史的事実に則した要素も含んでいるから、現在に作られるべき作品にもなっているような。

ラストがあんまりにも底抜けで清々しいのですが(特に夫の無事を願う女性が待つ手紙のくだりなど)、これぐらい優しくも美しいファンタジーだってアリじゃないか。そう思わせる強度は持っているかと思います。
時折とても綺麗に感じるやり取りがあるのが印象的です。

繰り返される窓に射し込む光、ゲイリー・オールドマン、戦時下、決断…とチャーチルの映画を何となく思い出しますね。
チェンジマーク律儀に入れてフィンチャーやってるなーとも感じました。
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