Mank マンクの作品情報・感想・評価

「Mank マンク」に投稿された感想・評価

2020年169本目。

これはまたすごい映画に出会ってしまった。

Netflix映画だけど家で観たら絶対後悔する。
なぜなら情報量がえげつないから。
マシンガントークが続いた中盤一瞬睡魔に襲われたらストーリーに置いていかれる。
回想シーンと執筆シーンが同時に展開されるため、頭の切り替えも速くないとだいぶキツい一作。映画館という周りに邪魔が無い空間じゃないと絶対理解できない。

そして予備知識も無いとこの映画はダメ。
ハーストの人生や「市民ケーン」公開時の騒動は抑えとかないと映画内では語られない空白の部分を埋められないと思う。

それを踏まえた上でこの映画は素晴らしかった。
この時代になぜ鬼才フィンチャーがこの題材で撮りたかったかが理解できた。

132分モノクロ。序盤からフィンチャーの古き良きハリウッドへの愛と同時に今の映画業界へのヘイトも感じ取れた。

マンクとフィンチャーは通ずるものがあると思った。

「人の一生を描くのは2時間では足らない。だが、人の一生を観たように思わせることは可能である。」

この言葉を実現化させたマンクとフィンチャーに拍手。
hi1oaki

hi1oakiの感想・評価

3.7
チャールズ・M・シュルツの『ピーナッツ(A.K.A. スヌーピー)』のライナスのフェイバリットムービーでもある『市民ケーン』創作の舞台裏を描いた作品。
しかしながらオーソン・ウェルズの話ではなく、脚本家ハーマン・J・マンキーウィッツ(=マンク)が自分の政治理念…とはまた違う信条や道徳観と仕事の板挟みに悩まされる話。権力vsクリエイティビティ。

白黒だからというだけではなく、その映像の質感はまさに光と影の使い方を含め『市民ケーン』そのもの。今作の見どころはその白黒撮影の伝統と革新と言っても過言ではないかも。

現代版『市民ケーン』と言えなくもないデヴィッド・フィンチャーによる『ソーシャル・ネットワーク』。それ以降の全フィンチャー長編監督作品で音楽を担当するトレント・レズナー&アティカス・ロス。相当ウマが合うんだろうな。確かにフィンチャー作品に漂う乾いた荒廃感はトレント・レズナーのそれと共通してる。
Nanh

Nanhの感想・評価

4.0
ふてぶてしく皮肉屋で、だらしのないアル中だけど、優しい心と身近な人からの信頼を得られるマンクの人柄をゲイリーオールドマンが怪演。
会話がめちゃくちゃ多く、純粋に全体感を把握するのに難しい。がジャズとカメラワーク/全編モノクロによる映像美が映画に軽快なテンポを生み、引き込まれる。
kiryu

kiryuの感想・評価

3.9
Netflixで配信あるのを知らなくて劇場で鑑賞。

「自慢ケーン」の共同脚本の秘話が語られる。

「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」と近い作品かなと思った。
当時の映画撮影の雰囲気や実在の人物など、デビッド・フィンチャーだし多分こだわっているんだろうなぁと思われる箇所があちこちに。

解説が欲しいと思いつつパンフがないのが残念だった…あとはまた配信されて観る機会が出来たら観直したい。

アマンダ・サイフリッドはやっぱりぱっちりの目力がすごい…目の保養だった。

このレビューはネタバレを含みます

しみけんのつぼみ・・・(ボソッ)

有名な映画の脚本を書いた知られざるマンキウィッツ(兄)について知られざるフィンチャー(父)が書いた脚本を有名なフィンチャー(子)が映画化した作品。

結果、市民ケーンのドキュメンタリーにNetflix側の要望のトランプ政権批判的な部分を入れておいて、あとは技巧派なフィンチャー(子)が画作りに没頭したような映画になりましたね。

ただ市民ケーンはどう考えても脚本家ってよりもイタズラ好きなオーソン・ウェルズのモノだと思うけどね。
たばた

たばたの感想・評価

4.0
やってることの凄さは分かるんだけど、デヴィッド・フィンチャーの映画を「ふぁ〜 地味… 渋ぅ…」って気持ちで観るのは初めてだったので、しばらくは正直戸惑った。

とはいえ最後はちゃんと感動。この「市民ケーン」制作の裏側が、今このタイミングで映画になったことは凄く意味のあることなのだろう。
映画史上最高傑作の誉れ高い名画「市民ケーン」に挑む天才の所業。
フィンチャーでなければ、作れなかった映画。題材的にも技術的にも。
「古典」を蘇らせながら、見事に今の映画として再興再構築してみせている。
圧倒された。途轍も無く面白い。

何故、今「市民ケーン」なのか?
大統領選挙が終わったこのタイミングであれば納得が出来る。
アメリカという国が戦っているものの本質は80年前と何ら変わらないのかもしれない。
ハリウッドの作り手たちが映画に何を託してきたのか。映画には何が出来るのか。そして、何を違えて来たのか。
フィンチャーなりの答えと問い掛けの様な作品に思えた。

フィンチャーの新作もいよいよNetflix公開。しかし、本作は絶対に映画館で観るべき。
先ず撮影と音響が尋常じゃない。
冒頭、登場人物が喋りはじめた台詞の響きでこの映画の拘りが普通でない事が判る。明らかに「今」の音じゃない。
そして、昨今の色彩さえ想起させられるようなクリアーな所謂「モノクロ」とは違う、本当の「黒」の画面。
昔、名画座で古い映画をフィルムで観た時の「あの感触」が思い起こされる。
戦前のハリウッド映画の質感を最新の技術で再現するというフィンチャーの狂気の完璧主義が驚異的。

そんな技術的な拘りが小手先の懐古趣味や自己満足で終わらない脚本と演者のパフォーマンスがまた、素晴らしい。
オーソン・ウェルズの天才性は何度も振り返られてきたと思うけれど、脚本家ハーマン・マンキーウィッツにここまで注目されて来た事ってあるのかな?
皮肉屋で冷笑家でありながら、熱情を胸に秘める"マンク"をゲイリー・オールドマンが最高に魅力的に演じている。

彼を取り巻く女性たちも素晴らしい。
特に、マリオン・デイビスの人物像の「再解釈」は、タランティーノがOATHでシャロン・テートを映画的に救済したのと同じ位、映画史的には意義がある様に思う。アマンダ・サイフレッドだからこそ観客も共感を寄せる事が出来たと思う。

後の名監督"ジョー"マンキーウィッツをはじめ、実在の人物たちのここでは語られない物語の余白や仄めかしが、また面白い。コーエン兄弟の「ヘイル!シーザー」の様なハリウッド奇譚的な楽しさ。

映画の核となるウィリアム・ハーストの事はもちろんだけれど、もし、判らない、知らない。ならば調べて学べば良い。
思えば、私たちが映画を通じて教えられてきた事、新しく開かれた事の何と多い事か。
昨今の映画は観客になんでも説明し過ぎな様にも思う。
その深遠と奥行き、それもまた映画の魅力であると思う。
IK

IKの感想・評価

4.0
「ROSEBUD」ってそういう意味だったんすね…。

脚本家ハーマン・J・マンキーウィッツが1941年公開の映画「市民ケーン」の脚本を仕上げるまでの物語。という事で映画「市民ケーン」そのものや、マンキーウィッツ以外の関連人物(オーソン・ウェルズやマリオン・デイヴィス、ウィリアム・ランドルフ・ハースト等)を知っている前提で物語が進んでいくため、事前に「市民ケーン」を観ておくか、Wikipediaを斜め読みしておいた方がいいかも。今ならAmazonプライム・ビデオで観られるし(2020年11月26日現在)。

デヴィッド・フィンチャー監督作は「ファイト・クラブ」や「ゴーン・ガール」のような皮肉っぽく冷笑的な見方が強いイメージだったので、そういった要素が皆無且つ直球過ぎる程直球なメッセージがあるのが意外。そして劇中ハーストや映画スタジオ重役といった裕福層の傲慢さや選挙活動で遺憾なく発揮する横暴をまざまざ見せつけられ、それに対してハーストに「市民ケーン」を叩きつけるハーマンの姿勢にフィンチャー自身の矜持を感じた。
またハーマン自身も正義感一辺倒という訳ではなく飄々とした所やダメな所もあり、お腹が見事な仕上がりのゲイリー・オールドマンのお陰でとても魅力的。

有名監督+有名俳優が出るとはいえ、どちらかと言うと地味目な内容のモノクロ映画にゴーサインを出すネットフリックスの度胸というか胆力は頼もしい。
市民ケーンの脚本家マンクのお話し。
ハリウッドの内幕ものって、内容だけじゃなくて今にと通じるメディアの話になっててよかった。
もし、モノクロじゃなかったらどんな仕上がりだったのか気になる。
dancingufo

dancingufoの感想・評価

3.8
前日に「市民ケーン」と町山さんの動画解説(WOWOW予習編)を観ておいてよかった。
未見の方、オススメします。

それでも説明なしの固有名詞多すぎ、1934年のカリフォルニア州知事選挙の周辺情報など、ついていけない場面多く、長く感じたため減点。

マンクとオーソンは脚本のクレジットを巡り最後、「ソリ」が合わなかったのはご愛嬌か。怒って家財を投げるオーソンに、マンクか「これ、スーザンのシーンに使える」とメモしてたのには作家根性が垣間見えて笑えた。


改めて「市民ケーン」が映画史に残る不朽の名作てあることはわかった。脚本を書き上げたマンクに拍手。
時代はくり返す。ネットメディアの暴走、格差拡大。次代のマンクよ、出てこい。
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