Echoes

Mank/マンクのEchoesのレビュー・感想・評価

Mank/マンク(2020年製作の映画)
-
マンクことハーマン・J・マンキウィッツがいかにして「市民ケーン」の脚本を書いたかを描いた映画。
「ソーシャル・ネットワーク」は21世紀版の市民ケーンとでも言うべき内容だったが、フィンチャーはこの映画に思い入れがあるのだろうか。本作でも多用される時系列の操作と強烈なコントラスト、クローズアップからはオマージュが感じられる。
「市民ケーン」のモデルとされる新聞王ランドルフ・ハーストは、世界恐慌下のカリフォルニア州知事選で民主党候補アプトン・シンクレア(ゼア・ウィル・ビー・ブラッドの原作者)を貶めるためMGMに捏造映画を作らせる。
彼らの悪どさを目の当たりにしたことが、マンクが市民ケーンの脚本を書く動機の一つになったことが描かれている。このあたり大統領選に合わせてトランプを揶揄したものなのかなとも思ったが、フィンチャー自身はこの映画のコンセプトを遥か昔から温めていたそうなので、いつの時代もこうした行為を行う輩はいるということなのだろうか。
ゾディアック、ソーシャルネットワークなどフィンチャー映画の主人公たちは、妄執に取り憑かれたかのように何かに没頭することが多く、その動機は常人には理解しかねる部分がある。ハーストやMGMといった巨大な権威に対し、仕事を干されながらも長いものには巻かれないんだと反骨精神を貫くマンクには自分も共感することができた。
Echoes

Echoes