こう

ザ・ハントのこうのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・ハント(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

【個人記録用】

この映画の予告編が世間に出回る頃、英語版のティザームービーをYouTubeで見たときから「描写がハードなバトロワ」という認識で公開されたら映画館に観に行きたいなーと思ってた。
それからしばらくして公開まで何ヶ月というところで、アメリカで銃乱射事件が発生したため公開が延期になったと記憶してる作品。
遅れて日本でも公開されたけれど、その時はタイミングがと熱量が合わなくて見逃してしまったけれど、いつかサブスクに追加されたら観たいなーと思っていたところにアマプラで発見。

この映画の面白さはゴア表現のキツさとアクション要素よりも、皮肉と構成にこそ詰まっていると思う。
冒頭のメッセージアプリのシーンは、まるで支配階級が娯楽で人を殺すイベントについて楽しそうに話し合ってるようにミスリードさせ、実は本当にただの冗談だったというこの作品のオチの伏線も分かりやすくて面白い。
その冗談を会社(株主?)は絶対に許さないという世界企業や大企業の徹底したイメージ管理は、現実でもディズニーのジェームズ・ガンやジーナ・カラーノ(マンダロリアン/キャラ・デューン)によるSNS上でのヘイトスピーチによる解雇など、昨今のSNS事情とネットユーザーのアンチ活動によるキャンセルカルチャーへの皮肉のように感じる。
皮肉の目は支配階級にとどまらず、「マナーゲート」なる陰謀論を妄信し、ハッキングにより暴かれた「冗談」を真実と捻じ曲げて拡散し、ヘイト活動をする服従層にも焦点を当てている。
そういった皮肉の中に、支配者階級が腹いせに冗談を現実に実行してしまうというフィクションの効いたスパイスと、ハードだけどコミカルに魅せるゴア表現が入ることで、この映画が良いバランスで出来上がっている。

映画の構成をとってみても、主人公になりそうなビジュアルの強いキャラクター達が次々と死んでいったり、映画のセオリーをあえて壊す序盤の作りが面白い。
中盤以降の、主人公のバックボーンと置かれている状況が少しずつ判明していくのも難しくなくてわかりやすく、丁度いい。
物語のオチも、結局クリスタルは人違いで、支配層も真実を読み違えるという最後まで皮肉の効いた作りがとても好みだった。
こう

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