通りすがりのいがぐり

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバーの通りすがりのいがぐりのレビュー・感想・評価

5.0
どうかあの人に届きますように

あの日から2年が経った。チャドウィック・ボーズマンは素晴らしい俳優であり素晴らしい国王だった。前作の国王として目覚めていくドラマから一転し今作はそんな彼に向けた鎮魂歌であり継承の難しさを描いた戦争ドラマになった。ティ・チャラ国王が亡くなり悲しみに暮れるワカンダに突如襲いかかる新たな困難の苦しさを登場人物達だけでなく、座席に座っている観客達にも"もう一度"乗り越えさせようとする構成になっており、全編通してMCUトップクラスに重たい作風になっている。次々と展開される状況に打ちのめされながらフェーズ4の描いてきたドラマと向き合わせてどこか温かい心地良さに包みこみ遠い彼方にいる彼に色んな思いを込めて届けるような作品だった。

MCUの中で1番重く風変わりで沢山の祈りが詰まったフェーズ4最高傑作の名に相応しい一本の映画として難はある。しかしそれでも乗り越えて創り上げられた鎮魂歌として素晴らしい映画だったと心から思える作品だ。