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ルース・エドガーのSakoChanのレビュー・感想・評価

ルース・エドガー(2019年製作の映画)
4.0
主人公のルース、彼の葛藤は、優等生である自分とその真逆のものに引かれる自分、全てを受け入れて欲しいという心の叫びであるように思えた。
彼の母親もまた、子供の光と闇の部分をどんな時でも包み込み、それを辞めないという使命を自ら選択しているのだろう。最後最悪の事実を知った時、それに言及せず母親から抱きしめてあげる場面は母の強さを思い知らされた。
最後の彼のスピーチ、そして最後の彼の走り姿はこれから光と闇の部分を全て自分として受け止めて前へ進んでいき、アメリカに住む「窮屈さ」とも共存していく決意だったのではないか。
個人的には母親に感情移入した。最後のスピーチで「ルースという名前は光という意味」という場面で、ルースは光であろうと必死でもがく余り、ストレスから周りを裏切るような火遊びに手を出してしまったのではないか。名前が皮肉になってしまうとは。

子育ては両親と子の相性とか性格が千差万別で難しいよなと考えさせられた。
男の子は誰だって隠したいことはあるだろうし、性にも多感な時期もあるだろう。
誰しも親の期待に応えたいという純粋な面と裏腹に、社会の闇を知り、それに染まりゆく自分のウラオモテがあるのでは?

彼の過去がどんなものだったのか、白人の両親の元に育てられる前、そしてあとは?そこの描写が欲しかった。
一体彼はどんな人物像なのだろう?最後まで謎は解けなかった。

社会派サスペンスで飽きずに最後までノンストップで見てしまえる作品。
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