二兵

スミス都へ行くの二兵のレビュー・感想・評価

スミス都へ行く(1939年製作の映画)
4.7
民主主義とは何か。自由とは。

観る前は勝手に、おのぼりさんスミスの都会を舞台にしたロードムービーだと思っていて、確かに前半にそういうシーンは出てくるのだけれども、メインは寧ろ、後半からの議場での戦い。

腐敗しきった政界において、無知で純粋無垢だったが故に、本当に見るべきものを見ていて、それを周りに訴えるスミスの姿に心を打たれる。

あの女性と共に反撃を決意する場面で、彼を見守るかのように聳え立つ、リンカーンの像のカットが入るのが熱い!

終盤の、新聞やデモ?の大攻勢が、早いカット割で怒涛のように打ち出されるのにも圧巻。制作費、どの位掛かったんだろうか…。

ただ、確かにキャプラの代表作『素晴らしき哉、人生!』と並ぶ名作だとは思うけれども、ちょっと理想主義的すぎやしないかと思ってしまったのも事実。まあ、素直に楽しめなくなってしまったのは、私の心が汚れているからなんでしょうな…いやはや。
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