mai

悲しみより、もっと悲しい物語のmaiのレビュー・感想・評価

3.6
ストーリーに乗り切れませんでした…。
コロナ前から楽しみにしていた作品だけに、大袈裟にも思える演出で乗れなかったのは残念です…泣けなかった。

まず台湾映画という時点で観なきゃって思ったんです…とにかく中国や台湾の映画って画が綺麗。役者の方々の美しさも並々ならぬものがあるけれど、カメラの色彩だとか色の使い方だとかがひとつひとつすごく綺麗なんです。
だから、切ないストーリー×色彩に富んだ映像ってそれだけで素敵なんです。
その点、この映画は完璧でした!
正直、わたしとしては学生時代のキャストの方の方がイメージに合ってるし好み的にも…って感じではあったのですが、大人になってからの女性の無邪気さと男性の儚さが凄くぴったりで、真剣に話を聞いてくれるKの暖かすぎる眼差しに癒されました。

ただストーリーが…。
13年間のラブストーリーなわけなので、かいつまんでの展開なのは重々承知なのですが、お互いかなり身勝手さが目に余る感じがどうしても引っかかってしまいました。
相手の幸せを願うのは自由だけど、知らないカップルを巻き添えにする必要ってあったのかな…と。しかも、そのカップルも「夢を叶えるために結婚は我慢していて、ようやく婚約までこぎつけた」っていう状況。そこ、引き離す必要ある?とそのカップルに泣きたくなりました。笑
しかも、女性の方はなんやかんや要求を出しつつも、Kの本音を引き摺り出してくれるし、男性の方は自分に気持ちがついてないと知りながらもクリームのことを思ってそばにいてくれるんです。
そういうつもりのセリフじゃないかもしれないけれど「君が愛してくれるなら結婚してもいいよ」的なセリフに胸が苦しくなりました。
そして、クリームが去った後も彼女のお墓参りに行き、そして写真展で彼のことを思ってくれる。

孤独を埋め合わせるだけでなく、幸せを与え合ってた運命の2人…そこまではよくあるストーリーで、それを期待してたわたしからすると大満足なんですけど、そのラブストーリーに巻き込んだカップル2人が良い人だったからこそ、なんか釈然としない気持ちになってしまい…そこからは大袈裟にも思えるBGMも演出にも乗れず、語りの部分もなんだか気持ちの上の部分を流れてくような感じで…。

いっそのこと、結婚する寸前で思いとどまってくれたら良かったのに…婚約破棄の前に自分の気持ちに正直になるみたいな展開だったら良かったのに…と思いました。

それでも、お互いしかいないと信じて愛を捧げた2人は尊いなと思いました。
mai

mai