ウルトラマン以前の過程をダイジェストで伝えるシーンが庵野監督ご自身のセルフパロディっぽくて非常に面白かったです。画面を埋めるくらい大きい文字でのテロップが懐かしくて、頭がすぐ庵野作品鑑賞モードに切り替わりました。
特徴的なアングルを多用しての会話劇もテンポがよかったですね。その早さゆえに理解度は低いのですが、大方のニュアンスは汲み取れる「聞き流しやすい」流れをうまく作っていたように思います。ここは会話そのものの構成の良さも一役買っているのでしょう。
戦闘シーンの細かいネタがどれもニヤリとする物になっていて、アトラクション的に楽しかったです。特に変身シーンのウルトラマンがこちらに飛んでくる演出の使い道をアレンジしているのは、オリジナルへの敬意と共に新しいウルトラマン作品を感じさせていると思います。
物語上のそれぞれの立場は、地球側、侵略者側、その調停者といった位置付けで、過去作品での勧善懲悪と比べると非常に現代的な構造を取っており新鮮味があります。やや弱かったのは人とウルトラマンの繋がりかな、と感じますが余白を楽しめる方は問題ない程度です。
巨大化した女性を執拗に描いていたのはやはりこれもエヴァのセルフパロディでしょうか。この辺りは長澤まさみのパプリックイメージをうまく使っていていやらしくない描き方だったように感じました。これも含めて面白おかしい描画が多く、サービス精神は非常に旺盛な作品かと思います。SF的なifや考証も効いていて、満足度が高かったです。
新作が出るたびに完成度が上がる庵野作品、次も追っていきたいです。
