天馬トビオ

シン・ウルトラマンの天馬トビオのレビュー・感想・評価

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)
3.5
おそらくこの映画を観た多くの人が、同じスタッフで作られた『シン・ゴジラ』と比較してしまったことだろう。

『シン・ゴジラ』は、ある日突然上陸して破壊活動を始めたゴジラに対して人間(特に日本人)がいかに対応したのか――攻撃し殲滅した過程を描く、ある意味流れがシンプルでわかりやすい構成。「どうやってゴジラを倒すのか」のテーマが一貫している。

本作は、次々と現れる怪獣(禍威獣)や宇宙人(外星人)とウルトラマンの闘いを、エピソードの連続として描くため、どうしてもストーリーのぶつぎれ感が否めない。そうした細切れのエピソードを集約しながら、総体として「なぜそこまで人間を好きになったのか」と問いかけている。

こんなことを比べても詮無いことなのだが、それぞれの出自の違いをたどれば、それも致し方ないことか。1本まるまるゴジラを主人公に据えた映画の伝統の上にある前者。ウルトラマン対怪獣の闘いをベースにした連続ドラマを引き継いだ後者。それぞれにスタッフの思い入れがあり、観るぼくたちの思い入れがある。比べてしまうこと自体意味のないことで、それぞれをそれぞれの立場、思いで楽しめばいいのだろう。

ちなみにテレビ版『ウルトラマン』を、その前の『ウルトラQ』からリアルタイムで観ていたぼくにとって、『ウルトラQ』のテーマ音楽の流れる中、懐かしい怪獣たちが登場するオープニング・シーンで、一気に作品世界に取り込まれていったことを強調しておきたい。
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