尾身映画

1917 命をかけた伝令の尾身映画のレビュー・感想・評価

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)
4.3
物凄く濃密で、死と隣り合わせで。
見てるこっちまで身体中が硬直しちゃうような映像体験。
それでもこれは、”なんでもないたった1日の出来事”。

まずこの作品を見る前に、「彼らは生きていた」っていうピータージャクソン監督のドキュメンタリーを見た方がいい。
これは第一次世界大戦の映像資料をカラーで復元した作品で、物凄く生々しくて当時の生活が隅々までよくわかる。

それを見てからこの作品を見ると、この作品がどれほど当時の様子を細かく再現しようとしているかってところに圧倒される。
ネズミの生々しさもそうだし、塹壕の道の表示を実際にある通りの名前の看板で表示したりするところとか。多分何も知らずに見てもただ通り過ぎてしまうところが全部徹底的に時代考証されてる。実際にメインの二人はこのドキュメンタリーを見て役作りしたらしいし。

この映画は、それくらい徹底的に描かれた擬似体験映画なんだと思う。
だから、この話は”ただの一日”でしかない。
戦争の中の、大きなポイントになったわけでもない、ただの一日。

だから、草原の居眠りで始まって、また草原の居眠りで終わっていく。
この物語の直前にも、もしかしたらこれぐらい命をかけた1日を過ごしていたのかもしれないと思わせる。そんな描き方。
命をかけた戦争というもの自体が、どんな1日であっても、どこかしらできっとこんなことが起きていた。命のやりとりってきっとそういうことなんだと思う。

毎日どこかでこんなドラマチックな出来事が起きてたんだよな。
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