大西

異端の鳥の大西のレビュー・感想・評価

異端の鳥(2019年製作の映画)
4.0
主人公が可哀想とか、残酷だとか、差別はよくない、ということではないなと。人間は人間らしさを取り繕って生きていて、現代社会においては映画の中で数多く描写される暴力や性といった動物的な側面は覆い隠してしまう。しかし、劇中には動物がたくさん登場するが、暴力や性は動物にとって生きることそのものであり、決して醜悪なものではない。人間のそれが見るに堪えないのは何故だろう?原題になっているPainted Birdの場面、異端者を排斥するという行動は群れを守るため、自分たちが生きていくため。人間の国や民族、宗教間の争いも根本にはそういった動物的な原理が働いているのだろうと思う。そしてそれとどう向き合っていくかということを考えると、この先も永くモノクロの世界がただ広がっているだけのように思われる。自分はラストシーンにはあまり希望を感じられなかった。
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