福福吉吉

異端の鳥の福福吉吉のレビュー・感想・評価

異端の鳥(2019年製作の映画)
4.0
◆あらすじ◆
第二次大戦下、ユダヤ人の少年は田舎の老婆に預けられていたが、老婆が死に住まいも燃えてしまったため、行き場を失う。少年は各地を彷徨うが、周囲の人間から異物として迫害や虐待を受けてしまう。過酷な状況下で少年は生き延びようとするのだが...。

◆感想◆
預けられていた老婆の死をきっかけにユダヤ人の少年が独りで彷徨う中、迫害を受けるストーリーはモノクロの映像とともにかなりの重みと精神的な圧迫を感じるものになっており、迫害を受けて喋らなくなった少年の精神が衰弱していく様子が心に突き刺さってきました。

本作はセリフが少なく、映像を観て理解する形になっており、少年の周囲の状況が戦争の過酷さ、村々での少年の異物感とそれを嫌う村民たちの差別意識を十分理解できるようになっていました。

少年の行く先々で善意的な対応をする人もいるのですが、それは極めて少数者で、少年は預けられた先で道具のように扱われ、また、性のはけ口として性的虐待を加える者もいて、観ていてきつかったです。

戦争時における人の悪意や差別意識、また、我が身を守るために異物を攻撃するという醜さを存分に感じることのできる作品でした。かなり良く出来た作品だと思います。

鑑賞日:2023年11月6日
鑑賞方法:Amazon Prime Video
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