れな

HOKUSAIのれなのレビュー・感想・評価

HOKUSAI(2020年製作の映画)
3.0
映画のようにドラマチックな人生ではなかった。
ということを伝えたかったのだろうか。
とても不思議な映画だった。

柳楽優弥の北斎と、田中泯さんの北斎
絵を描く動作やしぐさ、話し方やあふれ出る感情が同一人物に感じられた。
北斎を覚醒させた蔦屋重三郎、歌麿、写楽。
言いたいことも言えない世の中で、共にもがく瑣吉と種彦。
瑣吉が滝沢馬琴で、種彦が偽紫田舎源氏の作者だと知ってびっくりしました。

大げさじゃなくて、この時代の芸術家は命がけだったのだと思い知りますね。
種彦役の瑛太が素晴らしかった。
北斎と話すときの優しい目と、最期の意思を貫く強い目が印象的だった。

最初から最後まで主役の口数が少ない。
ほぼ、眼力と絵を描く動作で感情を表現してます。
紙に筆を滑らせる音がきれいに表現されている。

年を取っても衰えない制作意欲。
倒れて手に麻痺が残ったところから、一人旅に出ていろんな景色を観ようとする。
大切な仲間が亡くなったら、彼の心残りを描く。
この人は永遠の命があったら、永遠に絵を描いてるんじゃないかと思う。
この目の奥にあるものを描きたいんだ。
彼の目の奥にある何かをもっと見たかったです。
れな

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