ジェルボール

風にそよぐ草のジェルボールのレビュー・感想・評価

風にそよぐ草(2009年製作の映画)
4.3
穏やかに狂っている中高年のラブコメ。マリエンバードだとグリエの名もあり、構えて観ることができるが、こちらは野に咲く花のアルカロイドといった感じ。原題もそんなニュアンスだし。

誰がまともかわからない情緒の不安定さがあり、無意識の声が漏れ聞こえるだけならまだわかるが、むしろそうでない時の誰が何をしでかすかわからない感のほうが不穏である。
留守電やら手紙やら通信手段にこだわりあるんだか無いんだかわからない感じとか、夜のカフェでコーヒーを頼むだけで店員から怪しまれたり、股間のファスナーが閉まらなくなったりと、重要でなさそうなくだりがどれももっともらしく取り扱われる。突如、20世紀FOXのテーマが流れたりするのも冷やかしだかなんだかわからなくて良い。

なんやかんや非常に好みのタイプの映画で、観てる自分のほうが間違っているような気持ちにさせられる、こんな映画を近年作でもっと観たい。