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バーナデット ママは行方不明のpenのレビュー・感想・評価

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今年は別の映画でシンディ・ローパーの「タイム・アフター・タイム」を聴いたなと思い、振り返ってみればベン・アフレック監督の「AIR/エア」だった。
あちらは目的の電話を待つ時に流れたが、こちらは南極へ進む人に向けられる。と同時に待ってくれる人もいることを示す。リンクレイター監督の作品は他者との関係がいつも印象深い。

すれ違いの解消や遠く隔たった時間を埋める為の手段として会話が用いられている。しかし直接の関係にある当人同士が真に向かい合うと、大抵上手くいかない。第三者を前にして初めて自身の本音が零れていく。その瞬間に当人の表情は現状への戸惑い、不安、相手への信頼が揺らいでいる感情、愛するものへの確固たる想いと様々なものを映し出す。この人にはこんな表情もあるんだと思わせる多面的な部分を、役者陣は見事に表現していた。
そのアンサンブルが心地良い映画だ。

作中で流れるドキュメンタリー映像が過去の様子を映像メディアの古さも出しながら演出されていて、芸が細かい。
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